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セカンドライフは異世界で  作者: 灯台。
幼少期
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11話 後始末

 犯人達を縄で縛り上げ動きを封じておき、詠唱を防ぐためにも口に布を噛ませておいた。次は山を捜索している自警団をここへ呼び込む。


 村へ戻って呼びに行く事も考えたが犯人達を運ぶ事は出来ず、2人をここに置いて行く事も出来ない。と言う事でここに居ることを知らせる方法を考えていた。


 洞窟の入口まで行き、空へ向けてウィスプを放つ。

 普段は灯火程度の光を放つが、魔力を込め暗い森の中を昼間並みに照らす程の光源へと変化させる。ついでに小さな爆発を起こさせ音でも気付かせる。


 しばらくして4人組がこちらに向かってくる。


「何だこれは昼間みたいに明るいじゃないか」


4人組の先頭にはグレンが居た。えっよりによってグレンなの?


「あれは…おい、ゲイルじゃないかお前こんな所で何してんだ?まさかこの魔法お前が?てかお前魔法なんて使えたのか?」


 混乱しているグレンは矢継ぎ早に疑問を投げかける。


「父さん、質問は後で答えるし、ちゃんと叱られるから今は中にいるシアンの保護と犯人の護送を優先してよ」


「何?シアンって、バージル家のシアンちゃんが中にいるのか?」


「そうだよ、犯人は縛って動きは封じてるから多分大丈夫だと思うけど早く行こう」


「まぁいい、聞きたい事は山程あるがそっちが優先だ。案内しろ」


 グレンは隊長らしく3人の部下にテキパキと指示を出しすぐさま村への帰路へ着いた。洞窟を出る時にグレンが空へ炸裂弾を放った。対象を見つけて保護した、撤退しろ。と言う意味を他の隊へ伝えるものらしい。


 道中は案の定グレンからの質問責め&説教だった。魔法はいつ覚えたのか、なぜ2人だけで救出に向かったのか、何かあったらどうしたんだと延々と怒られたが最後には


「まぁ結果無事に救けることができたから良しとしてやるか良くやったな、ゲイルとクライフくん」


 頭を撫でられ嫌な気はしなかったな。村に着くとシアンを見つけるや否やシアンの両親が駆け寄り抱きついていた。愛されて大事に育てられてんだな。つくづく無事で良かったよ。


「所で父さんこの4人はどうなるの?」


「さぁな、とりあえず自警団の本部に連れて行って色々と聞かれるだろうな。どうするかはゴードンさんが決める事だ」


「ゴードン?」


「あぁゴードン・バーミリオン、自警団のトップだ。クライフくんのお父さんだね」


 なるほど後は大人に任せるとしよう。詳しい話は後で聞かせて貰うとして。俺は先に家に帰り事の次第をリリスにも説明しておいた。リリスも魔法の事には驚き、危険な真似はするなと怒られた。

 

 後日聞いた話では誘拐犯は王都の方から流れてきたならず者達で、村の外れに偶然一人でいたシアンを誘拐し金を稼ごうとしたらしい。


 この世界では人身売買は珍しくないらしく、王都の貴族の中には奴隷を従えている者もいるとか。悪趣味な奴もいるもんだな。


 ただ一つ不可解な事に誘拐犯達は名前を一切名乗らず自白をした夜に皆が自決をしたらしい。どうにも怪しいんだが手掛かりが無さ過ぎて調べようも無いとの事だ。


 それからは何事も無く月日は流れた。あの事件以来クライフとシアンは今まで以上に親密になっている。正直目の前でイチャイチャするのは勘弁して欲しい。


 そして3年の時が経ちアルス学園を卒業する時が訪れた。


 俺は今村の入口から旅立とうとしている。この世界には王都、魔族、古代の魔法色々と気になるものがある。それを巡る旅をしたいと考えていた。


 グレンとリリスは反対するかと思ったが意外とすんなり了承してくれた。クライフとシアンは泣いてくれた。村を出るなんて考えてもいなかったらしくかなり寂しがってる様を見ると俺も泣きそうになった。


「クライフ、シアンそんなに泣かないでくれよ。俺だって寂しいさ、でも何故か俺はこの旅に出ないといけない気がするんだ」


「ゲイル、いつだって一緒だったからお前が居るのが当たり前になってたよ。お前に頼りすぎてた部分もあるがこれからは変わるぜ!お前の帰ってくる場所はしっかり守ってやるぜ。なぁ、シアン?」


「任せといて、いつでも帰って来ていいからね」


 この2人なら上手く行くんじゃないかな、別に死にに行くわけじゃないしね。


「たまには帰ってくるよ。じゃあ、さようなら」


 グレン、リリス、クライフ、シアンに背を向けて歩き出す。


「さぁ、この先何が待ってるかワクワクしてきたな!」


 大きな一歩を踏み出した。

幼少期 終わり


12話より少年期となります

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