08話 シアン救出作戦
小さい村なので直ぐに話は広まった。ましてや貴族の娘が行方不明なのだ、それは大事になるだろう。村の自警団が躍起になって探し回っている。
普段は村の周囲に出没する魔物を討伐しているがそちらを最小限の人員で、捜索に全力を尽くしている。自警団はバーミリオン家が主導になって活動している。懇意にしているバージル家の事である為余計に力が入っているのかも知れない。
しかし2日経った今も居場所が分かっていない。
「クライフ大丈夫か?心配なのは分かるが顔色が悪いぞ」
「あぁ、ちょっと俺の方でも調べてるんだがなかなか手掛かりが無くてな」
何となくは感じていたがクライフにとってシアンは特別な存在なんだろう。
「気持ちは分かるがあまり無理はするなよ。俺に出来る事なら何でも言ってくれよ」
帰宅するとちょうどグレンも帰ってきていた。
「おかえりなさい。何処に行ってたの?」
「あぁゲイルか、バージル家の娘さんの捜索さ」
グレンも自警団の1員だったのか。
「そうなんだ、成果はどうだった?」
「今日も駄目だった。村の出入口で不審者は目撃されて無いから山の中に逃げ込んだ可能性があるんだが…」
「山の中の捜索は難しいよね。」
山中の魔物は群れで行動する為討伐に苦戦し思うように捜索が出来ていない。
「心配なのは分かるが絶対見つけてやるから安心して待ってろ!」
「うん、そうだね。頼んだよ」
次の日クライフと情報を共有する事にした。
「自警団は山の中に逃げ込んだと思ってるみたいだな」
「あぁ、俺も山中が怪しいと思ってたんだ。父上の話でもそんな事言ってたし」
「だがそうなると俺らだけで見つけ出すのは中々難しいかもな」
魔物は俺がいれば何とかなるだろうが広い山中を子供2人で探すとなると時間がかかる。
「そう言うと思ってな、実は重要な情報が1つあるんだよ。昨日ある洞窟の近くで見知らぬ男と数人の仲間らしき奴らが見つかったんだ。恐らく犯人だろう」
「本当か?グレンはそんな事一言も…」
「まだ不確かな情報だからな上部の人間しか知らないんだろう」
「それで、どうするんだ?」
答えは分かっている。
「助けに行くさ。でも魔物がいて犯人も恐らく相当の手練だ、俺だけなら死にに行く様なものだ。ただゲイルお前が来てくれれば何とかなりそうな気がするんだ。頼む」
クライフがこんなに真剣に頼む姿を見て断れるはずが無い。
「良し、囚われの姫を救い出そうじゃないか!」