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第2章 FILE27:内乱17 罠

 撤退する王国軍に反乱軍の騎馬隊が襲い掛かるが、殿しんがりを勤めるアイオリアの直属部隊の抵抗に攻勢をかけられずにいる。

「アイオリア様、後は我々に任せてお引きください」

 アルゴ百騎長が、馬上より弓を引くアイオリアに進言する。

「だが……」

「我々のことが信じられませぬか? アイオリア殿」

 そのグリーンの目を細め、立派なあご髭の上にある口元を楽しげに緩めながら、アイオリアに問うアルゴ。彼もアイオリアより軍歴の長い百戦錬磨の騎士だ。状況判断も統率力も問題はない。

「すまない。百騎長に任せる」

 アイオリアは、残った矢を引き敵部隊に放った。




 敵軍から放たれた矢が、セルの兜に当たり火花を散らす。

「ええい!何故あのような少数の兵を崩せぬ」

「恐れながら、森が深く、我が方も兵力を投入できませぬ。ここは、一度引いて部隊の再編成を行ったほうがよいと意見具申、申し上げます」

 セルの怒声に、すかさず現状に不安を覚えた副官が進み出た。

「ふん、口は達者だな。まあよい……」

 一旦、後退することを言いかけたとき、王国軍から放たれた矢が雨あられと降り注ぐ。いくつかの矢がセルの甲冑に当たり火花が散った。

「何をしていているか! 役立たず共! 蹴散らせ!」

 怒声を発すると同時に、目の前の副官が崩れ落ちた。矢が後ろからのどを貫ぬいている。即死だ。

 セルは、一瞥をくれただけで先ほどの副官の進言など忘れた。

「全軍突撃! 最後の一兵になるまで前進しろ!」




「わが軍は、圧倒的ではないか」

 ロスの顔に喜色が浮かぶ。

「ファル、前線の様子が見たい。本体を前進させろ」

「なりませぬ。これは罠です。我が軍の攻勢が限界に達した時、敵の反撃がきます」

 ロスは、鼻白んだ表情をファルに向けた。

「ファル、お前を指揮官から解任する。失せろ! 臆病な指揮官はいらん。全軍、前進だ。敵部隊を追撃する」

「父上、な、何を!?」

 いきなりのことに呆然とするファル。しかしロスが次の瞬間に放った言葉は、ファルにこの戦の敗北を確信させた。

「うるさい! 砦に戻っておれ! お前の処罰は追って知らせる」

 ファルは下を向き、唇を噛締めた。




「ファル兄上、一体何が?」

 砦に帰還したファルをラスが出迎える。

「俺は指揮官を解任されたよ、この戦は負ける。お前も覚悟して置け、父上もセルのやつも、暴走している」

 ラスは薄笑いを浮かべた。

「そうですか。クックックッ」

「何がおかしい」

 ファルはラスの胸ぐらをつかむ。その瞬間、ファルの腹部にナイフの刃が根元まで埋まった。ラスはそのナイフをひねるようにして引き抜き、再度、埋め込んだ。ファルが、胸倉を掴んだままラスにもたれかかる。

「なっ、なにを?」

 自分を刺した弟の顔に浮かぶのは、哀れみの表情。

「先代のニスと父上を恨むのだな。しかし、思ったように踊ってくれた2人と違って、貴方には苦労しましたよ。兄上? もう聞いていないか」

 ラスは血に濡れたナイフを投げ捨てる。

「すぐに、2人も送って差し上げますよ。先に待っていてください兄上」

 ラスは薄笑いを張り付かせたまま、すでに物言わぬ兄の身体を突き飛ばした。




 次回予告


 フェンリアはコウレクト砦に馬を走らせる


 その頃、王国軍は反乱軍に対して反撃に転じた。


 次回 内乱18 反撃


 風は貴方にどんな物語を残しましたか?


セリフの多さは少しは改善できたかな?

まだまだ、ダメダメですが。


ラスが動き出しましたねぇ。

彼の目的は何でしょうね(笑



追記 27日0316時

誤字の報告、ありがとうございました。メール返信できませんでしたのでこちらでお礼を申し上げます。


追記 27日2247時

王国軍と国王軍の表記を王国軍に統一しました。

ご指摘ありがとうございました。

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