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第2章 FILE12:内乱02 緒戦


 シャリアールが、アイオリアの側に馬をつけた。その表情は険しい。

「アイオリア千騎長せんきちょう

「千騎長は要りませんよ。シャリアール百騎長ひゃくきちょう

 シャリアールは、苦笑いを浮かべたが目は笑ってない。

「部下の前だ、けじめはつける。それでなあの敵部隊は平民の寄せ集めだ。指揮官は騎士だが……」

「ロス侯爵の評判を聞く限り、民衆が協力するとは思えないが、どう思う?」

「無理矢理、集めたのだろう。だが、4000の兵力は厄介だな」

 アイオリアはため息を吐く。

「精鋭とはいえ、我が方は3000。無駄な戦闘は避けたいところだが」

「戦闘を避けたいのは同感だが、正面から降伏勧告出しても承知しないぞ」

 アイオリアはなにやら考え込む。

「シャリアール。敵の指揮官は、騎士階級で間違いないな?」

「ああ、間違いない。金ぴかの鎧を着て偉そうにふんぞり返っていやがる」

 アイオリアは何か思いついたようだ。

「騎兵200を私の直接指揮下に、それに別働隊で騎兵を100準備してくれ。基本戦術として重装歩兵じゅうそうほへいを主力とした力押しで攻める。指揮はシャリアールお前に任せる。ただ、武器を捨てた者、降伏の意思を示す者は殺すな。徹底させろ」

 シャリアールは敬礼すると目線を下に下ろし、硬皮鎧を着た少年と少女に声をかけた。

「リュエル、ヒルト、アイオリアの(うしろ)から離れるなよ。そこが一番安全だからな」

 2人はコクリと頷いた。




 前衛に配置されたフルプレートメイル(全身を覆う板金鎧)を着込んだ騎士達が、両手持ちの大剣で軽装の敵兵を次々なぎ倒していく。転倒して起き上がれなくなり討ち取られた者もいるが、戦の流れはアイオリア率いる正規軍側にあった。

 反乱軍の無理やりに徴兵された兵の持つ粗末そまつな武器では、フルプレートメイルの重装歩兵じゅうそうほへいに対して決定的なダメージを与えることが出来ず、戦場は凄惨さを増していく。

「アイオリア様……」

 リュエルが呟くようにアイオリアを呼んだ。

「ああ、一方的だな。このままでも勝てるが戦死者が増えすぎる。敵と味方の被害を少なくする為、急ぐぞ」

 アイオリアは直接指揮を取る騎馬隊に向き直る。

「今から敵左翼より突撃する。無理して敵兵を倒す必要は無い。一気に右翼へと駆け抜けろ」

 アイオリアは剣を敵陣に向ける。

「全軍突撃! 我に続け!」

 アイオリアは猛然と敵陣に突撃した。

 前衛で崩れかけている所に、左翼から騎兵が突撃した事によって、反乱軍は総崩れになる。

 仲間を掻き分け、踏み潰し、中には背中から味方を斬捨てて逃走する者もいる。

 指揮官とおぼしき騎士達が、瓦解を止めようと見せしめに幾人か逃げ出した兵を斬るが混乱に拍車をかけるだけだ。

 その混乱の中に、時間差を置いて100騎余りの騎兵隊が突撃してきた。しかし、彼らは武器を振り回したりせずに大声で勧告を行う。

「騎士1人の首で、200人の兵卒の命を助ける。降伏しろ! 降伏せぬ場合は殲滅する」

 反乱軍の騎士達は顔を青くして逃げ出そうとするが遅かった。今まで支配していた兵たちに囲まれ、1人、また1人と馬から引きずり下ろされ討たれていく。

 開戦わずか2時間で勝敗は決した。



 次回予告


 緒戦に勝利した王国軍。しかしアイオリアの表情は曇ったままで。


 アイオリアの様子がおかしいことに気が付いたヒルトは。


 次回 内乱03 ぬくもり


 風は貴方にどんな物語を残しましたか?


すみません。集団戦闘のシーンって難しい。

戦略図にできるといいのですけどねぇ。

集団戦闘は第3章でも何度か出てくるシーンですし、何かいい感じに参考に出来る小説ないかなぁ?

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