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第2章 FILE10:ティータイム 後編


「遅れて申し訳ありません」

 ノックと共に、アイオリアが部屋に飛び込んできた。

「いいえ、こちらこそお忙しいところをお呼びして。それに、ヒルトさんにお相手を願いましたから」

 ルノアはアイオリアに席を勧めカップに紅茶を注ぐ。

「いただきます」

「アイオリア様とも、ゆっくりお話してみたかったのですけど、なかなか時間が取れなくて……」

「私とですか?」

 ルノアは微笑みながら頷いた。

「ええ、兵士達から『勇者』と呼ばれている方に、興味がありますわ」

「そんな、貴女こそ『蒼い聖女』と呼ばれて兵士達から尊敬を得ている。それも敵味方無く」

 アイオリアは少し照れた様子で紅茶を一口飲むと、「良い葉を使っていますね」と微笑んだ。

「おかわりならありますよ」

 立ち上がろうとしたルノアをヒルトが制止して立ち上がる。

「ルノア様、私がやります」

「それでは、ヒルトさんお願いします」

「でも、ルノア司祭はがっかりなされたのではありませんか?」

 確かに勇者という感じの風貌ではない。アイオリアには剣を持ち戦場に立つイメージよりも、学者か教師というような印象を受ける。穏やかな感じから聖職者も似合うかもしれない。魔王レイバとは違った意味で戦士に見えない。

「どうしてです? アイオリア様の人となりは好ましく思います。それに、そうでなければリュエルさんやヒルトさんが、ここまで献身的に仕えないと考えます」

 アイオリアは照れくさそうに笑った。

「2人には、苦労をかけていますよ」

「そんな事はありません!」

 アイオリアの言葉に過敏に反応して、叫ぶように言ったヒルトをルノアとアイオリアが見つめる。その視線に気がついたヒルトは、顔を真っ赤にして「ご、ごめんなさい」と囁くように言って小さくなった。

「ふふ、慕われていますね。アイオリア様」

「ありがとう、ヒルト」

 ヒルトは更に顔を赤く染めうつむいた。

 コンコン。

 扉がノックされ、リュエルが入ってきた。

「失礼します。アイオリア様、カーライン公爵がお呼びです」

「わかった。ルノア司祭、すまないがこれで失礼します」

「残念ですね。ヒルトさんはお借りできまして?」

「ええ、カーライン様の所にはリュエルを供につけますから」

 ルノアは微笑んでアイオリアとリュエルを送り出す。そしてヒルトに向き直り。

「さて、今度はアザム産の紅茶を入れましょう。こちらも美味しいですよ」

 このあとヒルトが、ルノアの紅茶講座をみっちり聞かされ美味しい紅茶の入れ方をマスターしたことは、また別の話である。




 次回予告


 それは些細なことが原因だった。


 しかし、それが引き起こしたものは深刻で。


 次回 内乱01 事の起こり


 風は貴方にどんな物語を残しましたか?


とまぁ、そんなこんなで次回より内乱編です。

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