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第2章 FILE05:ヒルト=アルフォンス

「貴方が、私の父様を討ったから……」

 少女はまるで天気の話しでもするように言った。その言葉にリュエルが反応した。腰の小剣を抜き少女に向けかまえる。

「貴様! 魔族か!」

 少女は顔色ひとつ変えずに、リュエルの構える小剣の切っ先を見つめていた。

「リュエル。剣を引け」

 アイオリアの言葉にリュエルが首を振る。

「いいえ。武器を持っていなくても、魔法があります。魔族が使う魔法は我々が使う魔法より強力です。しかも、アイオリア様を、親の仇とはっきりと言いました」

 少女は剣を向けられても冷静だった。先ほどと変わらない落ち着いた声で淡々と話す。

父様とうさま武人ぶじんだった。戦場で討たれたのなら本望でしょう。その事で仇を討つつもりはないわ。アイオリア様が父様より強かっただけ。それに……」

 そう言うと、少女は身にまとった布を脱いだ。

 薄暗い部屋の中に白い裸身が浮かぶ。まだ幼い胸の膨らみも、淡い茂みも隠さず、ただ正面にいるアイオリアとリュエルを見据える。

「貴方たちと魔族、何が違うというの?」

 リュエルはあまりの出来事に硬直している。

 少女は硬直しているリュエルとアイオリアを交互に見つめるともう一度、問う。

「貴方たちと私たち、何が違うの?」

 アイオリアは少女に近づくと、自分のしていたマントで少女の裸身を覆ってやる。

「名前は?」

「ヒルト…… ヒルト=アルフォンス」

「ヒルトか。いい名前だね。私は多分、君が思っているような人物ではないが、それでもよければ、私に忠誠を誓ってくれるか?」

 ヒルトは頷いた。

「リュエル、聞いての通りだ。ヒルトに部屋を用意してくれ。そうだな、コティに怪我の手当てを頼んでくれ」

 アイオリアはメイドの1人にヒルトを任せる事にした。

「わ、わかりました」

 リュエルが我に返り返答する。ヒルトの突飛な行動に毒気を抜かれたようだ。

「そんな顔をするな、リュエル。彼女は嘘を言ってはいない。彼女に裏切られたとしたら、僕に人を見る目が無かったと言う事さ」

「いえ、アイオリア様が決められた事ですから」

 そう言いながらも、不満気な表情を消す事が出来ないのは若さ故だろう。

 リュエルが部屋を出て行き、アイオリアとヒルトが残される。

 アイオリアは頭を掻くと、ヒルトにイスに座るように勧めた。




 次回予告


 周りの期待が重いアイオリア。


 しかし今の彼には何も出来るはずもなく。


 次回 アイオリア=ロウ


 風は貴方にどんな物語を残しましたか?


やっとヒルトの名前が出てきました。(2章のヒロインなのに)

でもって無事に騎士見習いとなりました。


ヒルトは外見的特徴は人間と変わらないです。魔力が多いだけの人間といった感じで、魔法も契約していないので使えませんし、彼女の特殊能力(魔力を力に変え身体能力を上昇させる)も使いきれてなく大したことありません。

彼女の今の武器は、父親に叩き込まれた剣技だけです。


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