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第1章 FILE12:ガイア神


 気が付くとルノアは宮殿の中にいた。華美な装飾は無いが、落ち着いた感じのする宮殿だ。そして、とても広い。そう、端と端が見えないほどに。

「ガイア様の宮殿?」

 聖典が伝えるガイア神殿に酷似した宮殿を眺めながら呟く。こうも広いと歩き回る気も失せた。

 とりあえず、することもないのでガイア神に祈りを捧げる。

「ルノア様、ルノア=ティア様」

 祈りを捧げていると白い甲冑に身を包んだ女性が声を掛けてきた。右手にはやはり白い槍を持っている。

 アイスブルーの瞳に、透き通るような金髪、同姓のルノアすら見入ってしまう美貌。聖典の通りなら、ガイア神を守る12人の戦乙女の1人だろう。

「はい」

「我らが母、ガイア様がお会いになるそうです。こちらへ」

 戦乙女の後について10分ほど歩いた後、大きな扉の前に案内された。扉の両端には案内してくれた戦乙女と同じ顔をした戦乙女が立っている。ふと、見分け付くのかしら? と関係の無いことを考えてみる。

 部屋の中に入ると大きな机に書類を山積みにし、見た感じ20歳くらいの女性がなにやらサインをしている。彼女が部屋の主、ガイア神らしい。

「おう、来たか。ちょっとそこに座って待っていてくれ」

「ガイア様!」

 やたらフレンドリーな口調のガイア神に、傍にいた戦乙女がとがめるように言う。やはり案内をしてくれた戦乙女と同じ顔をしている。

 ルノアはそばにあったソファにちょこんと座った。そして、執事の格好をした全長50センチ程の二足歩行する羊が書類の束を運んでいくのを眺める。

「待たせたな。私がガイアだ。ああ、堅苦しい挨拶はいらない」

 立ち上がって頭を下げようとしたルノアを、ガイアが制した。

「ルノアと言ったな。実はそなたを現世に戻そうと考えている。そなたがどうやって、 信者を獲得したか分からぬが、そなたを助けてくれと昼夜問わず祈っている者達の声がうるさくて、正直かなわん」

「そうなのですか?」

 ルノアの額に汗が浮かぶ。

「そうなのだ。あの魔王レイバが、そなたが助かったら、入信してもよいとさ。それで、試練を与えたのだが、まさか、『神下ろし』をやるとは思わなかった。私の一部とはいえ、召喚してのけるとはびっくりだ。二度と使うな。生身でやったら魂すら消滅するぞ。他に質問は?」

「いいのですか?そんなことして」

「いいの、いいの。所詮、神の力との強さとは信者たちの信心に比例するわけだ。それに、そなたはまだ死すべき運命にない。今回はイレギュラーをいうやつだ」

 ガイアの後ろに控えていた、戦乙女が咳払いをした。

「時間が無いことぐらい分かっている。ちょっと、黙っていろ」

 戦乙女を邪険に追い払う。

「あいつら、同じ顔で同じことを言いやがる」

 ルノアはその様子を見たガイアのことは、心の中に封印することにした。実際、ルノアはガイアについて聖典に書かれていること以上の話を一生涯することは無かった。

「そうだ。帰る前にこれをやろう」

 と、蒼い宝石を投げてよこした。宝石の中にはガイアのシンボルが薄く浮かび上がっている。

「これを下さるのですか」

「ああ、お守り代わりに持っていろ。効果は秘密だ」

「ありがとうございます」

「いいって、それじゃ、そろそろ行こうか」

 ルノアが、淡い光の包まれて少しずつ消えていく。頭を下げるルノアに向かいガイアが、笑いながら言った。

「せっかく帰してやるのだ。しばらくは、こっちにくるなよ」




次回予告


ガイアと再開の後、現世に返されたルノア。


目覚めた彼女が見たものは。


次回 魔王と蒼の聖女


風が物語を貴方に運ぶ。


今回も読んでいただきありがとうございます。

本日2度目の更新です。


やたら軽い本作の地母神ガイアですが、本来はギリシャ神話に出てくる始まりの女神(大地の女神)です。

あの浮気大魔王ゼウスの祖母になります。


複線のような、ガイアがルノアに渡した蒼い石ですが、忘れてもらってかまいません。『前奏曲』では使われないので(笑

使われるのは『前奏曲』の後の物語になります。


さてではまた次回。


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