FILE00:プロローグ
ヴァンパイアハンター日誌だけでも手一杯なのに、連載始めてしまいました。不定期連載になると思うのですがよろしくお願いします。
市でにぎわう街の路上で、子供たちが集まっている。
いや、子供たちだけでなく大人の姿も見られる。その中心にいるのは1人の年老いた吟遊詩人だ。
吟遊詩人は演奏していたハープの手を止め、子供たちに問う。
「さあ、どんな物語をお望みかな。勇ましいドラゴンスレイヤーの物語? 魔法を使って不思議な旅をする青年の物語? それとも、美しい姫君と騎士の恋物語かな?」
吟遊詩人に聞かれた男の子は、周りの友達とひそひそ話をした後に大きな声で答えた。
「聖魔戦記!」
それは、200年前にあった聖魔戦争の物語。この国の子供が繰り返し、親から聞かされ親から子へ、子から孫へ語り継がれる物語。
「聖魔戦記。幸せな物語ではないが…… 坊やはこの物語が好きかい?」
「うん!」
少年は大きく頷き、それを見た吟遊詩人は子供の頭をなで微笑んだ。
「では、語ろう。金眼の魔王と蒼の聖女の出会いを! 歌おう。勇者と呼ばれた心優しき青年と魔族の乙女の出会いを! 紡ごう。それに続く、魔王と勇者の悲しき運命を!」
再びハープの演奏が始まり、そのしらべを聞いた人たちがさらにあつまってくる。
こうして、物語の幕は開かれた。
次回予告
戦場の野戦病院。
傷ついた兵たちを治療するために彼女はそこにいた。
自軍の敗北。
その時、彼女は決断を下す。
次回 蒼の聖女
風があなたに物語を運ぶ。