裏口入会
「教会に裏口ってありましたっけ、おそらく台所横にある出入り口とは違いますよね?」
「多分、違うっすね、とりあえず日没までまちましょう、日中は人通りが多いっすからね」
「それじゃあ日没まで暇だし食べ歩きましょう、ここならおいしい食べ物がいっぱいあるでしょ」
シスターさん達がひとしきり帝国を楽しんだ、特に不審な人物などに遭遇することなく日没になってしまった。
「あっという間に夜ね」
「そっすね、というかもう文無しですよ」
「なんとかなるんじゃない?」
「それより裏口に行きましょう」
「じゃあ裏口に案内してもらうわよ」
マイクが目線を逸らす。
「まさか裏口の場所知らないの?」
「いやぁ場所がね…」
「なに、下水道とか?」
「いや、そんな場所じゃないっすよ…」
「じゃあどこなのよ」
「……トイレ」
「べつに問題なくない、秘密にするんだから普通なら解らない場所にするんじゃないの?」
「いや、その男子トイレで…」
「何テレてるの?、別に問題ないでしょ」
「えぇ、はずかしがったりしないの?」
「「別に?」」
シスターさん達2人はそもそも興味が無いというのもあるが、そもそもトイレを男女で分けているのは帝国の周辺のみである。
「はいはい、じゃあ案内するんでついて来てくださいね」
マイクの案内でトイレの個室の中に3人がすし詰め状態になる。
「本当にココなの、私達と密着したいだけじゃないの?」
「違いますよ、機密保持のためにこの個室以外のトイレに人がいたら作動しないんすよ」
「いつ人がいなくなるのよ!」
「そんなのしらないっすよ、これがあるからいつの間にか移動してるんすよ」
「大人しく待つのは別にいいけど……変なトコさわらないでね」
「いやっすよ……、殴らないで下さいよ」
「もう一発行こうか?」
「すいません、あ付いたっすね」
いつの間にか薄暗い礼拝堂の中にいた。
「ココが裏口?」
光源が一切見当たらないが、室内に何があるかはっきりと見える。
「そうっすよ、裏口は完全に独立した空間なんで自分もどの辺にあるかなんて解らないっす、地下かもしれないし、帝国から遠く離れた場所かもわからないっす」
「そんな事はどうでもいいわ、とにかく案内して頂戴」
「実は自分もココに入ったの初めてなんです」
「……はぁ」
「いや、そんな露骨に大きく溜息をしなくてもいいでしょ、というかシスターさんはさっきからどこを見ているんですか?」
トイレに入る頃からぜんぜん発言していないシスターさんはずっと同じ方向を向いていた。
「たぶん、あっちの方角だと思う、あっちの方がなんていうか…淀んでいる?」
「…解る?」
「全く」
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