贈り物
「で、何の情報が欲しいのかな、物次第では有料だよ」
明らかに何か企んでいるような笑みを浮かべながらマイクを見る。
「…金取るんすか?!」
「そりゃあタダで手に入る訳ないでしょ」
今の仕事の関係でほとんどが経費で落ちるため自腹に少し抵抗してしまった。
「そりゃ…まぁ、でもそこは経費で…」
「僕が請求した所で落ちる訳ないじゃん」
「そりゃそうっすね…」
「ま、ごまかせば落ちるんだけどね」
「落ちるのかよ!」
裏路地で息を潜めていたつもりだったが思わず叫んでしまった。
「だから君は半熟なんだなー」
先輩で手でマイクの視界を隠した、マイクはすぐに払いのけたが、先輩は視界からいなくなっていた。
「半熟って…」
「ねぇ、大声出すのは辞めてくれない、そりゃあ仕事ってストレスが溜まるものだとは思うけどさ、今発散すべきじゃないと思うの」
呆然とするマイクの後ろからカザリの声がした。
どうやらカザリはマイクが一人でいるのもと思ったらようだ。
「幼女に社会の説教される僕って…」
「おちこみすぎじゃない」
「おかしいなぁ…」
地面に頭がつくんじゃないかという位まで俯いていたが、いきなり頬を叩いて気合いをいれなおす。
「よし!」
「…空元気はいつか身を滅ぼすよ」
「じゃあ…一日何もしないで下さいよ」
「それは、無理よ、私は落ち着くと死ぬから…、ねぇそのポケットの紙って?」
「紙?」
マイクがズボンにくっついている紙に気が付く。
「いや、こんな位置に紙なんか置かないっす…」
四つ折りになっている紙をおそるおそる開いてみると数字でびっしり埋め尽くされていた。
「これ…なんか気持ち悪いけど、あなた達の暗号か何か?」
「多分……あー、これ速攻で焼却できないっすか?」
「なんで?」
「これあぶり出しっすよ、燃やしたら灰が情報になるんすよ」
「あぶってなくね…、まぁいいわシスターさんお願いしますね」
「あ、はい」
いまいち話の流れについていけていないシスターさんはよく解らないまま手の上で紙を燃やす。
紙が一瞬で燃え上がり、舞い上がった灰が塊になってシスターさんの手のひらに着地する。
「はい」
「いあいやいや、熱くないの?」
シスターさんは「どういう事?」と言っているように首を傾げる。
「それ普通は地面に置いてするもんなんすけどね、まだ自分には持てない厚さだろうし」
カザリがシスターさんから黒い塊の奪い取る。
「この位平気でしょ?」
「カザリさんも辞めてくださいよ、まだお肉が余裕で焼ける温度っすよ」
「でもこの大きさだった焼けそうにないけど…」
「例えっすよ、そんだけ熱いってことです!」
「で、この暗号はなんて?」
「えーっと、これは…教会の裏口から入るための証明っすね」
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