手紙と一緒に
「はいじゃあコレ、よろしくね」
満面の笑みので手紙だす。
「はぁ…」
それをゆっくりと受け取った。
「できれば私の生命としての保障してほしいんですけどぉ、この前だって先輩が帰ってこないしぃ」
「そこは、ごめんなさい」
「せめて建前でもいいから言ってほしいなー」
「私たちの敵かもしれないのでちょっとぉ…」
「私が行ける所までは案内するのでせめて首だけでも守ってくださぁい」
「流石に人事まではどうにも…」
「人事的じゃなくて物理的にですよ、はぁ」
「なんでそんな物騒なとこに就職したの?」
「そんな仕事が割り振られるとは思っていなかったんですー」
「はいはい、そんなわがままはいいから手紙追跡するよ」
「私の運命やいかに!」
「はい今回の分です」
再び正門前にて、封筒を慣れた手つきで渡す。
「いつもごくろーさん本当にこんな白紙で届くんだからすげーよなー」
「いつもどおり詮索はなしですよー」
「わかってるってそのための追加料金だからな」
「そうですよー、それじゃあいつもどおりお願いします」
「渡してきましたよ」
少し後ろで待機していたシスターさん達と合流する。
「じゃああれを追跡しましょうか」
「…そういえばどうやって追いかけるのですか?」
これまであんまり話してこなかったシスターさんが神妙な顔で質問する。
「ハッ!」
カザリはその発想は無かったというような顔をして固まっている。
「あのー…郵送は定期便の馬車に乗せて行くのでそれに乗ればいいんじゃ…」
「それよ!」
カザリが勢いよく指を突き出す。
「あの…刺さってます」
「指してんのよ人間」
「人間って…一応マイクって名前があるんですけどね…」
「所詮人間なんてみんな同じなんだから何でもいいじゃん、しかもシスターさんにいたっては見分けがつかないし」
「いやでも見分けがつかなくてもいちいち確認がいりますけど必要だと思いますよ?」
「疑問形のフォローありがとうございます…、というか勝手に教会から出て数日空けてもいいんですか?」
「それに関しては問題ないわ、私が出かけるもの勝手になんかなってるわ」
カザリの根拠のない自信が炸裂する。
シスターさんは大丈夫だと一瞬納得しかけたが流石にだめだと思いまだ馬車の時間まで余裕があるので一度教会に戻り事務仕事をしているシスターに伝えると、どうやら無断じゃなければ良いらしく、2人分の荷物を纏めてから正門に戻り荷物が運ばれる定期便に乗り込む。
定期便にはシスターさん達3人以外には従業員しかいなかった。
「いつもこんな感じで人が少ないのですか?」
マイクが沈黙に耐え切れずに馬を操っている人に質問をぶつける。
「いや~…どうだろ、今日みたいに少なかったり誰もいない時もあるけれど、人が多すぎて馬車を追加したことがあったりバラバラなんだ、時期で変わる訳でもないし本当にバラバラなんで」
本当に解らないようでそれ以上は答えなかった。
「まぁ、到着するまで結構時間かかるし寝てても良いんじゃないかな?」
「いえ、そういう訳には、って寝てるし!」
カザリとシスターさんは既に寄り添うように眠っていた。
「夜は普通に寝るもんだよ、君は慣れているみたいだけど若い内から無茶はしない方がいい、なぁにこの辺の魔物や賊は退治されてるしいざって時と到着したら起こすよ、なんせお得意様なんでね」
「じゃあお言葉に甘えて…」
「全く…ここで寝るのよくないんだがね…」
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