カザリの本気
「早速読んでみようよ」
カザリがわくわくしながら急かす。
「はいはい読みますよ」
ゆっくりと本を開いていく。
「これ…読めなくない?」
表紙をめくるとこの世界の常用文字ではない文字で書かれた走り書きが沢山あった。
「何かのメモのようですね…あぁ、なんて面倒なんだ…」
「面倒かもしれないけど表紙は読める文字だし中は普通に読めるかもしれないよ?」
「えーっと何では解りませんがこの変な文字が面倒だって書いてあるんです」
「え、読めるの?!」
「私にも何で読めるかわかりませんが読むことができます…」
「うーん…私が知らないだけかもしれないしなぁ…、そんなことより他にはどんな事が書いてあるの?」
「そうですねぇ…」
シスターさんが改めて読み直すと顔をしかめる。
「どうしたの?」
「ただひたすら愚痴がびっしり書いてあってここは読まない方がいいですね」
「なーんだ、じゃあ次のページ行こうよ」
今度は愚痴が書いてない事を願ってめくる、次はちゃんと公用語で書かれていた。
「今度は読めるね」
本には人体の構造とどういう風に機能しているか挿絵つきで書かれていた。
「…医学書、でしょうか…でもここまで正確なものは見た事がありません…」
「そうなの?」
シスターさんはさらにページをめくっていく、次の章に入ったのだろう、人体実験に必要な事が書かれてた。
「なんでこんなに…」
すでにカザリを無視して読み進めていく…。
そして…。
バタン!
「え!?」
さっきまで丁寧に扱っていたのにいきなり乱暴に本を閉じる。
「なんでいきなり本を閉じたの?!」
「カザリちゃんにはまだ早いからねぇ」
「なんで、人の生殖云々はすでに知ってるけど?」
「うん、まぁもともとご令嬢だったっけ?」
「そんな事もあったねー」
「確かに初めて会った時と別人みたいですねー」
「あの時は…、ってそんな事より本にはなんて書いてあったの?」
シスターさんは一度気合いを入れ直してカザリに向かう。
「…人体を、人を魔物またはそれにじゅんずるものにする方ほ…」
カザリはシスターさんが言い終わるまでに本をひったくりものすごい勢いで本を読み進めていく、速読術というべきかシスターさんからすればただぱらぱらめくっているようにしか見えない。
「え、カザリちゃん」
カザリの肩を掴むが全くの無反応だ、それほど集中しているのだろう。
そして…。
「シスターさん…解ったよ、全部」
真剣な顔で鼻血が垂らしなが言う。
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