裏の入り口
「とりあえず修道服以外を着てみようよ」
「修道服以外…ですか、確か…あったような…」
カザリはそういえばシスターさんが修道服以外の服装を思い出そうとするが、そうえいばシスターさんは寝間着と修道服以外の服装を見たいことがないかもしれない。
「ねぇ、ちょっといい?」
カザリがシスターさんの手を半場強引に手を引いて教会に帰っていく。
「シスターさんの私服を見繕いましょう、どうせ経費で落ちます!」
教会に入るなりカザリが大声で宣言する、その声に教会の半数の人間が声を上げシスターさんの元に集まる、ここでシスターさんの記憶は一時的に途切れる。
「…ハッ!」
気が付くともうすっかり夜になっていた、服装も修道服ではなくなんかこじゃれていた、どうやら自分が着れば認識できるようだ、お腹もすいていないことから夕食も終わっているのだろうか…、ふと横をみるとカザリが大変満足そうな顔をして眠っていた。
「あれー…」
いったい何が起こったのか…、解ることはなぜかある疲労感と大量の買い物の後と思われる紙袋が鎮座していた。
何がおこったか何故か思い出したくないのでとりあえず寝間着に着替えて眠る事にした。
「という訳で手がかりを探しに行きましょう」
昨日の事などまるで無かったようなそぶりで探索を始める。
シスターさんの服装が修道服ではなくラフな格好をしている、そのおかげか前に裏路地に来たときよりも人が多い気がした。
「よぉ…こんな所に迷い込むなんてなぁ」
おそらく裏路地に屯している男たちだろう、シスターさんには解らないが男たちは値踏みするように眺めている。
「ねぇ、聞きたい事があるんだけど?」
カザリが臆することもなく男達に質問をぶつける。
「情報には対価が必要だぜぇ」
ゲスな笑みを浮かべながらシスターさんの胸へ手を伸ばす、その手が触れる瞬間にバチッという静電気の音がした。
「…何をした?」
「…?」
男達は手をさすりながら何が起こったか解らないがシスターさんも何が起こったか解らなかった。
「…まぁ、良いだろう…で聞きたい事ってなんだ?」
目の前の二人がただ迷い込んで来たわけではなくこの辺を目指して来たようでしかもそれなりに実力があるようだ、二人を観察するとちいさな少女とまだ若い女性で顔は似ていないため血縁関係ではないように見える、少女の方は普通なら自分を見れば泣いて逃げ出すのがいつもの事だが余裕の表情をしている、服装はこの街で買えるものでまとめられており貴族には見えない、しかも女性の方はなんというか隙が大きく簡単にセクハラできそうで周囲を全然警戒していないように見える、このことからお忍びできた貴族の令嬢とその護衛ではないようだ、だからと言って油断はできない。
「何考えているか解らないけどもう一度言うわよ、聞きたい事があるのだけれど?」
「あぁ、簡単な事なら答えられるが、物によってはタダでは答えられないな」
一応見栄を張っておくこの辺じゃあ下に見られないようにしなければ生きていけない。
「簡単よ、本を売ってる所を探しているの」
本…この辺でそういうのもを探すってことはそれなりの事情があるってことになる。
「本か…程度にもよるが一応あるにはあるな、何かにに紛れてるかもしれないな」
「そうですかありがとうございます」
コインを一枚自分めがけて投げてくる、難なくキャッチすると二人は横を通り過ぎていった。
「まいどアリ」
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