街までの道
教会を出発し、再び一人になった。
しかし今は日が昇っているし何より次の目的地である街まではひたすらまっすぐな道が続いてるだけで急がなくても日没頃にはつくだろうと予想していた。
「このまま何事なく街まで行くとこが出来得ればいいのですが…、そういう訳に行きませんか…」
出発してから数十分程で出くわしてしまった。
村と街の間の道は整備こそされてはいないがそこそこ平面の道になっているので馬車などでは結構なスピードが出せるようになっている。
そんな道の真ん中に大きな馬車が止まっている、その周りを身長2mほどの緑色の体をした怪物が4体、馬車を襲撃しているようだ。
「あれは…確か、マーセルオーガでしたっけ」
マーセルオーガはオーガ種の中でも特に大きな種類で山奥に住んでいると言われている、間違ってもこんな目と鼻の先に人が住んでいる所にいるものではない。
「とにかく助けないと…」
前までなら怖くて見つからないように逃げていただろう、しかし今はあの程度なら簡単に倒せると思ってしまう。
「【ライトニングショット】」
雷系統の魔法でシスターさんが知ってる中で一番高威力の魔法を放つ。
放たれた雷が真っ直ぐにマーセルオーガの横腹に大穴をあける。
大穴が空いたオーガは訳が分からずに絶命した。
残りのオーガ突然の雷撃に驚きシスターさんの方へ向く。
「【ライトニングショット】」
間髪入れず攻撃を入れる。
すぐにオーガの胸部に大穴が空く。
「【ライトニングショット…ライトニングショット…】」
続けて残りの2体も処理する。
「この程度ですか…」
オーガが簡単に倒せたこと、それに自分が出した魔法の威力が低かったその二つに対して呟く。
「…っ!?、なんで?」
無意識にこんなことを呟いた自分に驚く…自分が自分じゃ無くなっていく気がした。
「おーい!」
自問自答する前に馬車の方から声がしてシスターさんの方へ駆け寄る。
「え、あぁはい」
「助かったよ、それにしても凄い魔法だね、シスターさんはみんなこうなのかい?」
駆け寄ってきたのは中年の小太りの男性だ。
「いえ、ここまでの魔法を使えるのは少ないかと思いますよ」
「へぇ、じゃあ貴女はかなりの高位の方かな?」
「いえいえ私は魔力が高いだけで高位じゃないですよ」
「そうですか、とにかく助けていただいてありがとうございます、何処かへお出かけですか?」
「そうですね、帝国に行くためにこの先の街まで…」
「そうですか、では助けていただいた恩もありますし、この先の街まで馬車で送りましょう」
「ありがとうございます」
馬車は特に装飾等はなく、中にも最低限の荷物があるだけでかなり空いていた。
街までは歩きなら時間がかかるが馬車だとすぐについてしまうため特に会話なく街まで到着した。
「ありがとうございました」
街の中まで入ってすぐに馬車を降りる。
「いいよいいよ、シスターさんもお気おつけて」
小太り男と分かれて街の中を進んで行く。
「そういえば名前聞くの忘れていました」
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