遺跡調査三日目
朝日が昇るが何事もなかった。
「まさか…起きたてたのか?!」
大穴の前に構えていたシスターさんを見て調査員の人が驚いていた。
「これくらいは平気ですよ、それよりも昨夜はよく眠れましたか?」
「あ、あぁあんたが見張りをしてくれてたおかげでぐっすりだよ」
「それは良かったです」
「ところで何か出てきたか?」
「いえ、何も出てきませんでした」
「そうか、施設だけが生きていた感じかな…、とにかく準備ができ次第爆破します、それまで監視をお願いします」
「はい、お任せください」
調査員たちが機材の撤収作業と爆破の作業を同時に進めていた。
「よし両方とも準備は終わったな、後は許可が下りるのを待つだけだな」
それから一時間ほどで報告に行った人が帰ってきた。
「許可下りましたよー」
「よし、爆破班は爆破具を持って設置に当たれ、それ以外はいつでも出発できる準備だ」
誰かの号令でシスターさん以外全員が動き出す、シスターさんは相変わらず見張りをしている。
爆破班の人たちが重装備で中に侵入していく、かなり手慣れているのか3分ほどで身軽になって帰ってきた。
「みんないるな…よし、総員、衝撃に備え!」
全員が耳を塞ぎ爆音に構える。
まるで地震が起こったように地面が揺れる。
大きな音と共に遺跡が崩れていった。
「なんか…もったいない気もしますね」
「いや、あういう系統は世の中に出さない方がいい、下手に出したらどんな悪用されるか判ったもんじゃないからな、昔…と言っても俺がまだ新入りの頃に問題があったみたいでな、今ではああいうのは大体爆破して処分している」
「そうなんですね」
「あぁ、あんなものは争いの道具にしかできねぇからな」
話し相手の人が上を向いた、何かあるのかとシスターさんもつられて上を向く。
「何か来ますね…」
「え」
崩れた遺跡の方から生き物の唸り声のような声が聞こえてくる。
全員が荷物を下して崩れた遺跡を見る。
低いうなり声を上げながら瓦礫の中から黒いオーラのような物を纏った鰐のような生き物が這い出てくる。
「シスターさんよ」
「なんでしょうか?」
「あれは倒せそうか?」
「いえ、強さが解らないのでなんとも…」
「そうか…」
「でもやるだけやってみます」
「頼んだ、総員退避ぃ!」
全員が早々にその場から撤退していく、鰐のような生き物はシスターさんにずっと注目していて他の人は全く気にしていなかった、そのおかげで撤退はスムーズに済んだ。
「これで全力出せますね、というか貴方…どこかであった事あります?」
試に話しかけてみるが向こうに反応はない。
鰐のような生き物が体制を低くする、今にも飛び出しそうな格好になる、シスターさんもそれに合わせて構える。
鰐が飛び出した瞬間に上から煙のような物がヌルりと覆いかぶさる、小さく断末魔のような声が微かに聞こえた、煙が鰐全体を包んだあと少しずつ小さくなっていき子供位の大きさになったとき聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「やっと見つけたぁ!」
「…え、カザリちゃん?!」
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