シスターさんの謎
「今日は依頼来てますか?」
もはやシスターさんの日常の光景になりつつある、もちろん毎日聞いてくるので一応毎日確認している。
「ごめんなさい、今日もきてないの」
この断り方は事務仕事をしているシスターによって変わるため、あぁ今日はあの人が受付かー、と判断される事もしばしばある。
「でも今日は受けて欲しい依頼があるんですよ」
「今日はなんですか?」
返事をする声にさっきまでの元気はない、よく言えばまじめ、悪く言えばやる気の無い声だ。
「この前に地震あったじゃないですか」
「あぁ、私が前に依頼から帰ってすぐに起きたのですね」
「そうでそうです、あの地方にしては珍しいなぁって…、その地震がきっかけで遺跡が出てきたみたいですよ」
「へー…え、まさかそこですか?」
「そのまさかです、遺跡調査の護衛に腕の立つ人を寄こせときましてね」
「えぇ、それは私には向いてなくないですか、人の区別尽きませんし」
「あー…そうですねー、あたしかその調査メンバーに子供がいたような」
「行きます!」
事務仕事をしているシスターが言いかけて即座に言葉をかぶせる。
「いいのですか、いるかもですよ、いないかもしれませんよ?」
「いえ、行きます、なんだか私を必要とする声が聞こえる気がするのです」
今までに見たことがないような気迫で事務仕事をしているシスターに迫る。
「じゃ、じゃあ受けるんですね」
「はい、受けます!」
いつの間にか用意ができていた、さっきまで部屋着ようの修道服だったはずがいつの間にか外用の修道服に変わっていた。
「あれ、いつの間に着替えたのですか?!」
「そんな事は些細な事ですよ、で依頼の詳細を教えて下さい」
「えーっとちょっと待って下さいね、まずは処理しないと…っと、えとですね…」
事務仕事をしているシスターから依頼の詳細を聞いていく、話していくたびにシスターさんの装備がちょっとずつ変わっていく。
「という訳で依頼の開始は3日後となります」
それを言い終えるとシスターさんが少し落ち込むと同時に服装が部屋着のような修道服に戻る、それを見て事務仕事をしているシスターは噴出してしまう。
「それ、どうやってるのですか」
「それ?」
「ええっと服装を一瞬で変えてたじゃないですか?」
「え、気合いでなんとかなりません?」
「いや、なりませんよ?!」
「そうなんですか?」
「そうですよ!」
一悶着あったがなんとか処理をすませ一度事務仕事をしているシスターと別れる、あれからシスターさんは楽しみとばかりに街の外で魔法の練習をしていた。
「お、今日はずいぶんと気合いはいってるなぁ」
街の外で爆音を鳴らして練習するのもおなじみの光景になっていた、爆音を鳴らして練習するときも時間を厳守して一応配慮はしている、それに定期的に爆音を鳴らしているので魔物も近辺では見かけなくなったそうな。
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