シスターさんの休日
閲覧ありがとうございました。
「最近毎日仕事をしていないかい?」
シスターさんにとっては簡単な討伐の依頼を終えた時に事務仕事をしているシスターに声をかけられる。
「そういえばずっと依頼でどこかに行ってますね」
「たまには休んだらどうだい?」
「休み…ですか、私はあの依頼以来休んでいるつもりですよ、今日だって簡単な仕事ですし」
それを聞いた事務仕事をしているシスターはあきれた様子で。
「あのね、普通の人間が3日以上かけてするような依頼を貴女はまるで近所に散歩にでもいくような感覚でしてないかしら?」
「まぁ、暇つぶし程度に…」
一度溜息をつき少し間をおいてから言い出す。
「確かに貴方にとっては簡単でしょうね、おかげでずいぶん儲けさせてもらったわ、でもね…ここにいる人間が貴方みたいに強くないのよ、だから少しは自重してほしいのよ、貴女が簡単にこなすから難易度の高い依頼が増えたのよ、しばらく休みなさい、もちろん練習とかもダメだからね!」
「あ、はい」
「と、いう訳で暇になりました…」
今の状態になる前も含めてシスターさんには趣味と言えるものが無かった、子供が好きでシスターを目指したがまさかこんな事になるとは思わなかった、思えば今日までずっと働き続けていたのだ、といっても短くて一時間の時が多いのでそこまでキツイ訳ではない。
一度部屋に戻り、今日どう過ごすかを考える、正直に休日は欲しいとは思っていなかった。
(さて何しようか…じっとしていても落ち着かない、何かお買い物でもしようか、服とかも今はほとんど同じに見えてしまうのでできない、食べ歩きでもしようか…、それはいつもしている)
そんなこんなで考えている内に眠ってしまい結局そのまま夕方になってしまった。
「あぁ…」
折角の休日を無駄にしてしまい思わず声がこぼれる。
「いえ…まだです」
すでに太陽は半分ほど沈んでいる、シスターさんに謎の闘志が沸きあがる、別に外出は今からでも遅くはない、シスターさんは改めて乱れていた服をきっちりと着直して外へとくりだす。
街は連日屋台が出ている、この時間帯は特に人で賑わう時間だ、まずは周囲を見回してどのようなお店があるかざっと確認する。
今日は肉を扱っている屋台が多いようだ。
いつもは教会の周囲にある屋台の物を食べていたので今回は少し離れた所にいってみる。
移動中もお腹が鳴り続けているがそこはグッと我慢して足を進めていく。
「おや、こんな所にシスターとは珍しいね、うちのを食べていきなよ」
呼び止められてようやく気づく、どうやら進み過ぎたようだ、気が付けば町の端の方まで来てしまった、ここにも屋台群はありお腹がそろそろ限界が来ているので今日はここらへんの屋台に決めた。
今の状態になって人は見分けがつかなくなったがそれ以外はいつも通り区別することができる。
最初は軽いものから始める、それから段々と肉中心に重くしていく、米やパン、麺類はすぐにお腹が膨れてしまうのでそれらは後回しにする、途中で飲み物もわすれない、たまには炭酸系でいこう、これもお腹が膨れてしまうがガスを早々に出してしまえば問題ない、最後はデザートだ、普段は果物系にしているがたまには焼き菓子でもいいだろう。
一通り満足しすっかり空になった財布を気にすることなく教会へ帰っていく。
「え、何アレ、メッチャ楽しんでるじゃん、普通じゃん…え、どう報告しろと?!」
「見たまんまで問題ないよ、すでに似たような報告は上がっている」
「私もあんな休日をすごしたいんですけどぉ」
「だったら成果を上げることだな」
「この任務で成果ってどうあげるんですかぁ?」
「しらん、それは自分で考えろ、もっともアレに手を出す勇気があればのはなしだがな」
「いやいやいやいやいや、あれに手は私でも出せないですよ、人間辞めてますよアレ」
「ふっ…そうだな」




