次の仕事は謎だらけ
「あのー依頼は来ていないでしょうか?」
「うーん…毎日来られても来る物じゃないからねー」
「そうですね…」
毎朝シスターさんが事務仕事をしているシスターに話かけ、そしてうつむき自分の部屋へ戻る、そんな数日が続いていた。
シスターさんが希望している依頼はめったに来ないため、たまに生活費を稼ぐために討伐系の依頼を受けたりしている、シスターさんは普通に強いため距離にもよるが大体の依頼を一日で終了させていて評判は結構いいようだ。
「ごめんだけど、今回も討伐系の依頼に行ってくれないかしら?」
「また、ですか…」
シスターさんは乗り気ではないが生活するために渋々受ける。
「ただ、今回はちょっと訳ありでね…」
「私に来る依頼は基本的に訳ありじゃないですか?」
「うん、まぁそうなんだけどね…でも今回は依頼主が不明でね」
事務をしているシスターは言い難そうに答える。
「不明って、そんなので依頼ができるのですか?!」
「いちおう出来なくはないのよね…、依頼料を規定量の3倍以上払えば一応受け付ける事はできるわ、特例過ぎて私も忘れてたわよ、しかも受付の子曰く、【ダサい仮面と真っ黒な全身の人で紙とお金を置いて立ち去っていきました】ってさ、まぁ内容自体は割とよくある討伐系の依頼なんだけどね」
「で結局どんな依頼なんですか?」
ものすごく何かありそうだが目の前の事務をしているシスターに聞いてもわからないだろうと思い依頼の内容を聞いてみる。
「この時期に繁殖期を迎える大翼蜥蜴の間引きよ、指定された岩場に集まった群れから生まれた卵の数だけ殺してほしいそうですよ」
大翼蜥蜴は文字通り蜥蜴に蝙蝠の翼が付いているだけの生き物であり一体ではあんまり強くないが群れで行動するため定期的に数を減らさなければならない、普段は人里から結構離れた場所に生息しているためこの時期以外で討伐の依頼が出ることは滅多にない。
「なんかそれ…変な間引き方ですね」
「そうよねー、普通なら割合だったりするのよねー、しかも場所も限定的だし明らかに何かあるのよねぇ…、でも貴女なら十分強いし突破できると思っているわ」
「謎の信頼ですね」
「そうね、一応繁殖期自体はひと月ほどあるし気長にできるわね、あともう今回は報酬を先払いにしておくわ、なんだかこのお金は手元に置いておきたくないし」
「そうですか、じゃあ…行ってきます」
「はい、いってらっしゃい」
一度部屋に戻り依頼書を確認する、地図と照らし合わせると今回の場所はここからシスターさんなら飛べば半日ほどで行ける距離にあったので軽装で行くことにした。
「何事もなければ良いのですが…」
閲覧ありがとうございました。




