となりの教会
日が昇り始める頃にはとなりの村についた。
まだ村は静かで誰ともすれ違うことなくこの村にある教会にたどり着く事ができた。
ここの村もシスターさんのいた教会と同じく平屋建てでそこまで規模は大きくないが村の規模も住民が200人ほどの規模で教会のある所は少し離れている。
「たしかここの教会は…」
ふと、この村に派遣されたシスターを思い出す。
この世界のシスターは立派な職業でありシスターになるには専門の学校で約2年間学習しその後協会に所属して初めてシスターになることができる。
そしてここの教会に派遣されているシスターは確か同期だったはず。
「知り合いだといいなぁ」
微かな希望を持って教会の扉を開ける。
「感知用の仕掛け発動して来てみたらあなたですか…」
目の前にこの村の教会にいるシスターが仁王立ちで待ち構えていた。
「えー…っと…どちらでしたっけ?」
待ち構えていたシスターがズッコケる。
「まあ、無理はないでしょう、なぜなら私はあなたより一期下ですからね」
「ということは後輩になるのね」
「そういう事になります先輩…、ていうかこんな早朝になんの用でしょうか?」
「あのね、落ち着いて聞いて欲しいのだけれど」
「その口ぶりから嫌な予感しかしませんね」
「そうねいいニュースじゃないわ、私の派遣された村が悪魔によって襲撃され全滅したわ…」
「はい!?、……えじゃあここも危ないんじゃ無いの?!」
村のシスターが早朝の時間なのにも関わらず大声を上げる。
「いえ、悪魔は消滅しました、生き残りは私だけです」
「え、じゃあ先輩が悪魔を倒したって事?」
「いえ、自爆といいますか、勝手に消滅しました」
「と、とにかくそれらを報告するために本部に行く途中なのね?」
悪魔がいなくなったと聞き落ち着いた後大声を出した事で少し顔が赤い。
「そうです、私のいた村は無人になりました、そういえばここの配給の配達はいつ頃ですか?」
「ここの村も先輩がいた村も多分近い日にちだと思います」
「とういうことはまだ日にちがありますね」
そんな事聞いてどうするんですかというような表情で首を傾げる。
「いえ、乗せてもらおうと思いましたが流石に時間かかりますね」
「そうなりますね」
「ここにはエアメールの設備とかあります?」
エアメール…魔力を動力とした文章を瞬時に送る事が出来る高価な道具…わかりやすくいえばFAXである。
「そんな高い物はありませんよ、あったら真っ先に出しますよ」
「そうよね、ごめんなさい」
「それでこれからどうするんですか?」
「ここから定期便がある所まで行ってそこから本部のある帝国に行きますよ」
「そうですか、まずはここで祈りと朝食でも食べて行ってくださいな」
「あら、ありがとう」
シスターさんにとって他の教会で祈りを捧げ、子供達と朝食をとる…こんな事がかなり昔の事に思えた。
早々に後片付けを済ませて、出発しようとする。
「先輩、一つ聞きたいことがあるんですけど」
「ん?、何?」
村のシスターは不安そうに尋ねる。
「先輩は人、ですよね?」
「ええ、例え人でなくなっても私は私ですし、信仰は忘れはしませんよ…」
「先輩、……お気おつけて」
「はい、行ってきます」
シスターさんは次の目的地である、街に向けて歩き出した。
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