異例だったもの
「そういう事ですので、よろしくお願いしますね」
「はぁ…、わかりましたよ仕事ですからね、なんとか採血してみますよ」
「ええ、よろしくお願いします、あぁ採血した血はちゃんと保存してくださいよ、間違っても常温と冷凍で保存はしないでちゃんと低温でお願いしますよそれから…」
血の保存に関することを長々と聞き流しつつカザリの様子をうかがう、相変わらずこちらを警戒している。
「後採血が終わったらもう自由にしていいですよ、殺すなり逃がすなりご自由に」
「なんかあっさりしてますね」
「今回のはここまで前例がありませんし、おそらく例外の個体でしょう、それに同じような状態になったらそれを調べればいいですからね、今回は血液検査で十分ですよ」
「では血を採ったら後は自由にしても良いんですよね」
「ええ、何をしようが問題ありませんよ、ただしここを出るのであれば食料の供給は無くなりますますよ、一応あれが生きてる限り補充するようには言ってありますし、もちろん費用はこっちで負担してますよ」
「あら、そうなんですか…」
「あれくらいなら経費で落ちますし、残った食材はこっちで食べてますからね」
「だから毎日新鮮な物ばかりだったんですね」
「そういう事です、そろそろアレに殺されてしまいそうなので退散しますね、あ採取した血液は下の保存庫に入れていただければ結構ですので」
そう言って逃げるように去っていった。
薬の人がいなくなって安心したのかカザリだった物はそのままの姿勢で寝てしまった。
シスターさんはため息をついてから簡単に部屋の掃除をして料理を作り、いつもの風景へと戻っていった。
それから何度か採血を試みたが皮膚が鱗で覆われていて採れなかったり単純に暴れたりとなかなか血を採る事が出来ずにいた。
そんなこともあり微妙な距離感を保ち続けて数日…。
カザリだった物は食事量がだんだんと減っていった、最初にあった頃は出した料理(生肉に少し味付けした程度)を全部食べてもまだ欲しそうにしていたが最近は半分以上残すようになった、残りは焼いてからシスターさんが食べている。
そしてついに何も食べなくなってしまった、しかし体は細くなっているわけでもなくむしろ大きくなっていった。
それでも身の回りの世話を続けた、といっても水を出したり、掃除をする程度だが。
そしてついにカザリが使っていたベットよりも大きくなっていた。
大きくなったことにより採血が簡単に成功し保存庫に入れると翌日には無くなっていた。
閲覧ありがとうございました。




