見落とし
さらに数日後。
「あれ、野菜は食べないの?」
「なんていうかこれは食べ物じゃないっていうか…」
「あら、私の食べ物は食べられないのねぇ」
「いいいやいやいやいや」
「解ってますよー最近野菜を無理して食べてましたし」
「解ってたの?!」
「ええ、ですので野菜の量は徐々に減らしてますよ」
「え、あ、そうなの」
さらに数日後。
「生肉が食べたい」
「生肉…ですか?」
「なんか焼いたのより生で食べたい、あとできれば内臓がいい」
「内臓なないですね、生肉で我慢してくださいね」
「はーい」
数日後。
「ガッ、アぁ…」
「ねぇ、大丈夫なの?」
「うぅ、大丈夫…」
最近カザリは獣のような声を上げるようになりだんだんと話が出来なくなっていった。
それからいつの間にか爬虫類のような尻尾が生えていた。
さらに数日後。
「ガァァァアアア!!」
カザリはついにまともに話ができなくり獣のように吠えていた。
「カザリちゃん。今日のご飯ですよ」
しかしシスターさんに襲いかかるということは無かった、というものまだ話ができる頃に一度襲いかかってきたが一瞬でシスターさんがねじ伏せたためそのことは覚えているのかシスターさんが刺激しなければ襲い掛かることはなかった。
シスターさんはまたいつか正気に戻ると信じて。
さらに数日後。
綺麗な肌から鱗が生え始めた。
そしてついに二本足であるかなくなった。
どんどん人間から離れていっている。
それからどんどんと人の形から離れて行った。
そしてついに…。
ちょうど薬が無くなるタイミングで完全に人の形を失った。
シスターさんには攻撃はしようとはしないが食事の時以外はだいたい距離をとって周囲を警戒している。
「これは…なるほど竜みたいですね」
いつのまにか薬を持った人がシスターさんの横に立っていた。
「もう、元には戻らないのですか?」
カザリから目を離すことなく薬の人に話しかける。
「元に…ですか、正直ここまで変化してしまった事例は初めてでして…、いつもは前回合った状態より進んだ状態になると自我が暴走して危険なので処分されていました、しかし、今は比較的おとなしいですからね、どれくらい時間がかかるかわかりませんが採血をして原因を探ってみましょう」
「それはどれくらい時間がかかりますか?」
「おそらく暴走するまでに完成するか怪しいですね」
「そう…ですか」
「あれ、抑えてもらっていいですか、今後のために採血したいのですが」
「いやーさすがに私でも抑えるのは無理ですかねー」
「そうですか、まぁそうですよね、じゃあ死んだ時は採血お願いしますよ」
「もしかたらうっかりして忘れてしまうかもしれませんね」
「うーん…それは困りますね、一応それも仕事の範囲ですよ」
「私はカザリちゃんのお世話しか聞いてませんが?」
「ちゃんと依頼書を読みましたか?」
「そういえば読んでないですね」
シスターさんは荷物を確認する。
「ありましたね、そんな記載が…」
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