薬の効果は…
「これで、全部ですね?」
「はい、もう聞かされた話は覚えている限り全部話しました」
「全く…とりあえず晩御飯作ってきますね」
「…はい」
カザリはこれで何か罰則みたいな物があるかと心配していたがそんな事はなかった。
「お薬はしっかり飲みましょうね」
「も、もちろんよ」
カザリがいつも飲んでいた薬は錠剤なのですぐに飲み込むことが出来たが、新しく貰った薬は粉末でそこそこ量があった。
「うげぇ…」
初めて飲む粉末タイプの薬を一気に飲みこむと、さっきまでおいしい食事から一気に地獄に叩き落されるほどに不味かった、しかし目の前のシスターさんが怖かったのでなんとか飲み込み水で一気に流し込む、それでも声に出すほど不味かった。
「なにか…甘い物を…ください」
「はいはい、よく頑張ったね」
カザリの頭を一度なでると厨房に向かい果物を幾つか細かく刻んで牛乳に混ぜる。
「はい、どうぞ」
シスターの持ってきた飲み物を急いで受け取り味わう余裕もなく一気に飲み込む。
「おいしい!」
思わずこぶしを突き上げて叫ぶ、その姿はもはや一遍の悔いが無いように思われた。
「あ…」
振り上げた拳を下し、また飲もうと思ったのかコップを持つと中身はすでに空っぽでとても悲しい顔をしていた。
「そんな顔をしてももうないですよ」
それを聞いたカザリの目から涙が流れる。
「これから毎日お薬の時に用意するから今日はもう我慢してね」
それを聞いたカザリはすぐに笑顔になり。
「わかった!」
笑顔のままベットにもぐりこんだ。
調子いいなーと思いながら食器などを片づけてから就寝した。
翌日。
カザリとは別の場所で寝ていたハズなのにまたカザリのベットで抱き枕にされていた、翼を広げて抵抗しようとするが、逆に広げた翼をもふもふしていた、シスターさんの翼は一見すると蝙蝠のような見た目だが触ってみると蝙蝠ではなく鳥の羽のような手触りでカザリは気に入ったようだ。
カザリの力は強く下手に翼を直そうとすると翼が引きちぎられそうになってしまう。
下手な抵抗をせずに起床を待つことにした。
「ん…ふぁ」
「おはようございます」
カザリが寝ぼけ眼を開けた目をシスターさんが見て静かに驚きの声を上げる。
「目が…」
カザリの白目の部分が黒くなっていた。
「目?」
急いでカザリを起こして鏡の前に立たせる。
「えぇ、なにこれぇ」
自分の変わった目を見て驚いていた。
「なんか猫みたい」
「それでいいのですかね…」
「いやぁ、なんか、なれた?」
「なれたらだめでしょう」
「貴女が言っても説得力皆無よ」
「それもそうね…」
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