カザリという少女2
「確か食材は自由に使っていいんですよね…」
誰が聞いてる訳でもなく自分に言い聞かせるためにあえて声を出す。
戸棚などを開けてどんな食材があるか確認する、さすがに大きな屋敷なだけあって種類が豊富だ、流石に高級品は無いが大体の食材はそろってる。
しかもすべてに保存用の魔法がかけられていてほぼ新鮮な状態だ。
「これだけあればいくらでも好きなだけ料理がつくれますね」
こんなに食材がならんでいるのを見るのが初めてでしかも自由に使えるとあればテンションが上がらない訳がない。
「あっ作りすぎた…」
調子にのってクッキーを多く作ってしまった、これではどこかでパーティーを開くような量だ。
「まいっか」
とりあえずクッキーを厨房にあった手頃な籠に入れてもって行くことにした。
「カザリちゃん、クッキー焼いてみましたよー」
「クッキー!!」
カザリは勢いよくシスターさんに近好き、クッキーが入っている籠をひったくり一心不乱に食べ始める。
「そんなにおいしいのかな…」
自分で作っておいてなんだがクッキー自体は前にいつも作っていたのと同じ物なので一心不乱になるほど食べるのをみて引いていた。
「こんなおいしいのひさしぶりよ!!」
三つの目を見開いて笑顔で答える、その笑顔は本物だとシスターさんは感じた。
「それは良かった」
クッキーの山を半分ほど食べ、満足したのか手が止まる。
「最初にお菓子を持ってきたのはあなたが初めてよ、お菓子で釣ろうっていうのは正解よ、おみごとに釣られたわ!」
最初にあった時とはまるで別人のような年相応のはしゃぎ具合でシスターさんを褒める。
「それは良かったです、そういえばカザリちゃんはいつも何かしているのですか?」
「私は何もしてないよ、毎日寝てるだけ、たまにくるまずい物を食べてるだけ、他になんにもしてないわ、あとそれが何日続いてるかもわからない、だってずっとこの部屋から出てないのですもの」
「そうなんですか、ということは私は毎日三食とおやつの用意をすればいいのかしら?」
「そうね、ここでの役目は基本的に私のお世話ね、あと寝床は底に布団が入ってるからそれ使って、厨房が下にあるだけ大体の機能はこの部屋にあるわ」
言い終わって疲れたのかベットに横になる。
「質問なんだけど、貴女は外出は許可されているかしら?」
「さー、めんどくさいし聞いた事ないわ、あと出たいとも思わないし」
「小さい内からそんな怠け者じゃいけません、ちょっと聞いてきます!」
「え、ちょ!」
カザリの言葉を聞かずにシスターさんは部屋を飛び出した。
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