新しい街へ
翌日。
すごく機嫌の良いシスターさんが目撃されたと言う。
仕事が始まるのはそれから3日後だったがシスターさんは終始ご機嫌だった。
仕事当日も早起きして、ワクワクしながら移動のための馬車を待っていた。
荷物は最低限にまとめてあるため小さめの旅行用鞄が一つ持っているだけだ、修道服にも内側にポケットがいくつもありそこにも荷物が収納してあるため荷物が少なく見える。
暫く待ち続けようやく移動用の馬車が到着した。
「待たせてすまないね」
「いえいえ、予定の時間より少し早いですよ」
「いんや、聞くところによると早朝から待ってたらしいじゃあねぇか」
「はい、今回は特に楽しみでしたので…」
その言葉を聞いて馬車を率いて来た人は顔をしかめる、すぐに表情を戻すが傍目からはバレバレであるしかしシスターさんにはわからなかった。
「そうか、じゃあ急いで行かないとな」
「はい、お願いします」
「予約はお前さんだけだが一応時刻になるまでは待機だ、もしかしたら他にお客さんが来るかもしれないからな」
結局時間になっても誰も来なかったのでシスターさん一人を乗せて馬車は出発した。
途中で盗賊などに遭遇したがシスターさんが簡単に捕縛し目的の街で引き渡した、やはり盗賊が出るのは珍しいらしい。
地図を頼りに屋敷まで向かう、どうやら今回は教会での仕事ではないらしい。
「ここ、でしょうか?」
地図に記載されている場所はおそらく今シスターさんがいる街では一番大きい屋敷で何度か周囲を確認したがどうやらこの大きな屋敷のようだった。
正門には武装した警備の人が二人いる。
シスターさんが近づくと警備の人が気づいたようで。
「話は既に聞いている、お前が修道服を着ていて助かった、今から中の人に報告するから暫く待ってほしい」
そう言って警備の人の一人が屋敷の中に入って行った。
暫くすると屋敷の中から人が二人出てきた。
「わざわざありがとうございます、それでは早速案内致しますのでこちらへ」
案内されて屋敷の中に入って行く、自己紹介が無かったのはシスターさんの人の区別がつかない事が伝わっているからだろう。
「ここまで来るのに苦労しましたでしょう、何でも盗賊が出たとか」
「ええ、道中に、けど上手く捕縛できました」
「おおっ、では先ほどの盗賊を捕まえたシスターというのは貴女でしたか」
「そうですね、でもあんまり強くありませんでしたよ」
「……そうですか、いやはや頼もしい限りですな」
「はぁ、ところで他に人が居ないようですが…?」
屋敷の中に入ってから暫く進むが誰ひとりもすれ違わなかった。
「ええ、近々祭りがございましてね、その準備に大忙しでして、この時期になると屋敷はご主人様一家と門番、それから使用人が最低限の数になりますので一日誰ともすれ違わないとこが希にございます」
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