とにかく移動しないと。
「ええ、なにこれ!」
体中を色々と調べてみると翼以外にも頭にヤギのような角が生えていた。
「そんな、私が…」
人の姿にコウモリのような翼にヤギの角、この姿はまるで…。
「悪、魔…」
この世界の誰もが知っている悪魔の姿。
「あ、あぁぁ…私はぁ…」
私は人間私は人間私は人間私は人間私は人間私は人間私は人間私は人間私は人間私は人間私は人間私は人間私は人間私は人間私は人間私は人間私は人間私は人間私は人間私は人間私は人間私は人間私は人間私は人間私は人間私は人間私は人間私は人間私は人間私は人間私は人間私は人間…。
ガラガラと元教会の一部が崩れる音がした。
「ひゃいっ、すいません!」
瓦礫の崩れた音にびっくりしてしまい素に戻ってしまった、しかしそれにより何とか落ち着く事ができた。
「はぁ…角は何とか隠せそうだけど翼が…あれ」
体中を触って確認するが翼と頭の角が消えていた。
「ふー…良かったぁ…」
シスターさんがため息をつくとバサりと翼が生えた。
「ええぇ!」
慌てて自分は人間と念じると翼が収納される、それに安堵して気を抜くとまた翼が生えてくる、どうやら気分を引き締めれば翼や角を隠せるようだ。
「ううぅ…」
何度か翼を出し入れしつつ感覚を掴んでいく。
「何とか…大丈夫かな」
数回練習した後に瓦礫から自分の荷物をまとめる、幸いにも服などは無事なのが多かった。
不意に翼でても良いように十分に厚着をして普段はつけないウィップルを深めにかぶる。
「これで大丈夫、かな」
とにかくここで起こった事態を報告しなければならないため一度村まで行った後に本部がある帝国まで行かなければならない。
「けどその前に村長の所にいかないと」
教会の位置は村の端っこの方にあるため荷物をまとめてから村長のいる家まで向かう。
村の中には人の気配が無く静まり帰っていた、血の匂いが少しするが村人どころか死体すら見当たらなかった。
「すいませーーーーーん、誰かいらっしゃいませんかーーー、教会のシスターですーー」
大声をだすが声が村中に響くだけで返事は無かった。
シスターさんは急ぎ足で村長の家へ向かう。
「村長、教会のシスターです、いたら返事してください」
ドアを何度も叩くが一向に返事が無かった。
ドアには何故か鍵が掛かっていなかったので申し訳ない気持ちがありながらも村長の家の中に入っていった。
「村長、失礼しまーす…」
静まり返った家の中を進んでいく、別に今回がこの家に入ったのが初めてという訳では無いので迷わず村長の書斎まで行く。
「村長、いらっしゃいませんかぁ?」
もちろん書斎にも誰もいなかった。
「あれ、なにこれ、砂?」
シスターさんはふと村長の椅子に砂が溜まっているのに気づいた、そして気絶する前に狼男が砂になって消えていってようなきがした。
「まさか…!」
慌てて家の台所にいくとやはり不自然に砂の山があった。
「そん…な…」
おそらく狼男と同じようにこの村の住人も砂にされてしまったと気づいてその場に崩れ落ちそうになるがなんとかこらえる、おそらく唯一の生存者として本部に少なくてもとなりの村の教会までこのことを知らせに行かないといけないという責任感と子供達、そして村の人たちを弔うためにシスターさんはもう一度荷物を確かめてまずはとなの村の教会を目指した。
閲覧ありがとうございます。
今回も短いですがキリがよかったのでここまでにします。