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あの、私の背中に黒い羽が生えたのですが…

ここは田舎のとある小さな教会。

今日もシスターさんは預かっている子供達を起こす。

「みなさーん朝ですよー」

カンカンとフライパンとお玉をぶつけて音を出し子供達を起こす。

大きな音に釣られて子供たちがぞろぞろと起きてくる。

「おはよーございますシスターさん」

「はいおはようございます……あれヤガン君は?」

ぞろぞろと降りてきた子供達を数えて一人いない事にきずく。

「まだ寝てまーす」

シスターさんはため息をつきヤガンを起こして子供達がいることを確認してから礼拝堂まで行き皆でお祈りを捧げる。

お祈りは3分ほどで終る、ここの教会に大人はシスターさんが一人しかいないため、お祈りの時間などはかなり短縮されている、大きな都市などにある教会なら必ず30分以上はかかると言われている。

お祈りを済ませ皆で食事をとる。

パンが一つと1皿分の野菜がたくさん入ったスープ。

「シスターさんお肉は無いの?」

「ごめんね、お肉は夕食まで待ってね」

「はーい」

教会の運営は寄付金と帝国にある教会の本部から毎月少しばかりお金か送られてくる、もっとも本部から送られてくるお金だけでは生活できないので主に野菜の寄付とシスターへの依頼料で何とか持っている状態だ。

朝食を終えて後片付けをしていると教会のドアが激しく叩かれる。

慌ててシスターさんが駆けつける。

「なにがあったんですか?」

外には片腕がなくなり今にも死にそうな顔をした老人とそれに寄り添う青年がいた。

「じいちゃんの腕が魔物に食われた!」

「【フリーズ】早く中へ!」

シスターさんは慣れた手つきで老人の食いちぎられた部分を凍らせたあと子供達に指示を出し、老人を外来用のベットに寝かせる。

「シスターさま、じいちゃんは治るでしょうか…」

「失った腕は戻らないけど命は大丈夫です【ヒーリング】」

もう何度も使ってきた魔法だ、いつもなら腕をキツく縛って止血し薬草を浸したガーゼを当てて包帯を厳重に巻いている、今回は相手が老人だったということと失血死の可能性があったため魔法を使用した。

魔法を使用したことにより段々と老人の顔色が良くなっていく、青年も安心したのか大きなため息をつく。

シスターさんは年長の子供達に後を任せて休憩する。

シスターさんには魔力を多く持っておらず、ランクの高い回復魔法を一回するだけでかなり疲労してしまう。

シスターさんが台所で水を飲んでいると爆発音と共に子供達の悲鳴が聞こえる。

疲労で重い体を引きずって外来用の部屋へ行くと…。

そこには何も無かった。

「は…」

目の前に広がるのはいつもの見られた教会ではなく教会だったもの。

別の所で子供達の悲鳴が聞こえる。

シスターさんは自分の疲労などお構いなしにまだ無事な教会の中を駆け抜ける、その最中でも爆発音や悲鳴が聞こえてくる。

「よう、遅かったな」

駆けつけた時にはもう子供達は血だらけになってその上に何かか立っている。

狼男、そう思わせる人物がいた。

「なぜ…こんな事を…」

シスターさんは怒りを抑えて人狼に問いかける。

「俺様の事魔物何かと一緒にしやがったからな、既の所で逃げやがったから追いかけて殺したまでよ」

「それでは、子供達を殺すことは無かったじゃありませんか?!」

「あれな、ただの気分だ」

狼男がニヤリと笑う。

「【ライトニングショット】」

狼男の言葉を聞いて思わず攻撃する、しかしさっきの回復魔法の疲労が消えておらず小さな狼男にはダメージが入らなかった。

「おいおいなんだよそんなチンケな魔法はよぉ、魔法ってのはこう使うもんだろ」

狼男が手をシスターさんの方へ向けると轟音と共に雷撃がシスターさんの横を通り抜ける。

「……っ!」

真横を外れただけなのに熱風で吹き飛ばされそうになる、何とかこらえると。

「おいおい、お前が生きてるのは俺がわざわざ外してあげるからだぜぇ、それにお前は、なかなか顔もいいじゃねぇか」

「………」

こんな奴に捕まるくらいならいっそ自害してやるとばかりに狼男をにらめつける。

「はぁ、あー何か冷めたわ、呼ばれたから来てやったのに誰もいねーし、あとは疲れるだけだし帰るわ」

狼男がだるそうに頭をボロボロ掻いたあと大きくあくびをしてた。

突然上空に教会を飲み込むほどの大きな魔法陣が空に現れる。

「糞っ!、そういう事かよ」

狼男は何かを理解したのか慌てているようだ。

「おい女ぁ!、犯人は帝国にいるぞぉ…!」

狼男がどんどん崩れていく。

シスターさんはその姿から目を離せなかった、完全に消えると急に強烈な眠気が襲い倒れてしまった。


「……ん」

シスターさんが目が覚めたのは夕日が沈みかかる頃だった。

「っ!、みんな!」

飛び起き辺りを確認する。

「あぁ…」

やっぱりあれは夢ではなかった、シスターさんは瓦礫となった教会の中で気を失っていた。

動かないと、今の状況でこのまま立ち尽くしているわけにはいかない、本部へ報告しなければ。

シスターさんが立ち上がると背中から違和感を覚える、確認するために振り向くと…。

「え…何……これ…」

シスターさん背中から修道着を突き破り大きな黒いコウモリのような翼が生えていた。


閲覧ありがとうございます。

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