変なひと
はじめまして。
はじめて小説を書くので至らない点があるかもしれませんが良かったら見てやってください。
テーマは「言葉」です。
言葉には力がある
人の気持ちを意図も簡単に変えてしまう
楽しいことを言えば楽しくなり
悲しいことを言えば悲しくなり
腹立つことを言えば腹が立ち
愛することを言えばいとおしくなる
言葉とは人間が誰しもが持った盾であり、武器であり、癒しでありそして、凶器である。
言葉ひとつで相手を自分を殺すことができる。
誰もが持った何よりも鋭く、心をえぐり、苦しみを味あわせる凶器だ。
しかし、それと同時にどの薬よりも
人を癒し、奮い立たせ、助ける誰もが持っている特効薬でもある。
それを俺たちは日頃何気なく
いつも交わしている。
それは果たして凶器か特効薬かはわからない。
でも、ただひとつ言えるのは
誰もが持っている生きるための万能な武器なのだ。
君は果てしてこの武器をどう使う?
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暑い・・・・・・・。
とにかく暑い。
照るつける日光。
高いビル。
耳障りなエンジン音。
うざいくらいの人混み。
折角の一張羅の着物も汗を吸い込んでいる。
「やっぱり洋服の方がよかったかな」
通りすぎる人が着ている半袖が羨ましく思う。
いや、しかしここは自分のアイデンティティーは貫かねば。
金髪の髪を隠すように被っている帽子を直した。
おし。
俺は懐にしまっていた紙切れをだす。
そこには「楓鈴館」という文字と
住所が書かれている。
ここが今回の目的地。
なのだが、困ったもんだ。
「さあ、きいたことないねぇ。でもこの住所ならここの道まっすぐいったらすぐそこだよ。」
場所をお訪ねたところ
かっぷくのいいお巡りさんがご丁寧に教えてくれたのだが。
悲しいことに俺の方向音痴は壊滅的だった。
真っ直ぐ来たはずなのに住所の場所とは間反対に来てしまっている。
人気がない公園に来てしまった。
小さなブランコと錆びたベンチ1個の一体誰が遊ぶのかと彷彿させる小さな公園だ。
日も落ちかけて夕暮れにいつの間にかなっていた。
「とりあえず、休むか。」
正直疲れた。
錆びたベンチに俺は腰をかけた。
空を仰ぐとオレンジ色に染まっていた。
昔を思い出した。
姉貴がまだ生きてた頃よくこんな風に二人で空見てたな。
なーんもない。たわいないことだけどよく覚えてる。
「つーか。どうしよ。」
正直歩きたくない。このまま寝ちゃいたい。
方法的にはないこともないが色々面倒なのでそれはしたくない。
よし。今日は野宿しよう。
そう決めて俺は空に向けていた顔を起こした。
だけど、次の瞬間そんな呑気な考えはぶっ飛んだ。
目線の先。
オレンジ色に染まる歩道橋の上に一人の少女がいた。
制服を着ていることから学生だろう。
彼女の顔は長い黒髪がなびいて見えない。
しかし、ひとつだけわかった。
顔は見えないが、彼は今そこから飛び降りようとしていることが。
「ちっくしょ!クソッタレ!間に合えよ!」
俺はすぐさま身体をおこし少女に向かって走り出した。
歩道橋の下は線路。
遠くから電車の音が聞こえる。
少女は歩道橋の手すりに立った。
やべぇ。あれは本気でやばい。
俺はようやく歩道橋の下まで来た。
電車はすぐそこまで来ている。
待てよ。
行くなよ。
少女は震えながら下を見つめた。
「待てって・・・・・。」
「いってんだろ!!!!!」
俺はその瞬間彼女に抱きついた。
「早まんな!まだ人生はながい!とどまれ!」
俺は必死に叫んだ。
もう、自分の前で誰かが死ぬのはーーーー。
「日角!」
少女の凛とした声が響いた。
それと同時に彼女のまわりに突風が吹き荒れた。
そのまま俺は飛ばされ反対側の壁に身体を打ち付けた。
「いたっ!」
風は止み、彼女の姿が見えた。
長い黒髪に整った顔立ち。
美少女。まさに美少女だった。
そして肩には鷹が止まっていた。
鷹・・・?
「え?何で鷹?」
俺は思わず間抜けな声で少女に尋ねた。
眉をひそめた少女は一層怖い顔になり腕を組み仁王立ちになった。
「あんたのせいで全部ぱあよ!!!!」
この時俺が勘違いしていたことに気づいた。
どうやら彼女は俺が思っていた
「はかない少女」ではなく、「怪しい少女」
だったらしい。
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「あんたのせいで逃がしちゃったじゃない」
そういいながら美少女もとい
天宮泉真は特大パフェを食べている。
俺の目の前で。
「いや、だからお詫びの品としてこうしてファミレスでパフェ奢ってるじゃない。」
てか、よくそんなでかいパフェたべれんな。
「折角っ。大物だったのよ!?これぐらいしてくれなきゃ歩に合わないわ。」
そういいながらパフェにがっつく泉真ちゃん。
見た目は完璧なのにどうやら大食いらしい。
俺は可愛くコーヒーをすすっている。
うん。うまい。
「それにしても、その年で言霊師ってスゴいね。」
俺はコーヒーを一口のみ泉真ちゃんに尋ねた。
「別に。うちのなかでは私は遅い方よ。お兄ちゃんたちなんて中学から仕事してた。」
「でもまさか七大家・天宮家の長女さんとは。いやはやスゴい偶然だねぇ~。」
「別に。てか、あんたが勝手に勘違いして来たんでしょ?」
そう、俺は勘違いをしていた。
まずひとつ彼女は俺が思っていた「はかない少女」ではない。
彼女は言霊師だった。
言霊師
言葉を操る術師。
国家直属の特別機関であり、選ばれた人間しかなれない特殊職業。
その実態は詳細には明かされていないが
言葉を操り具現化できる力をもっている。
そして、唯一「木葉」に対抗できる人物。
「木葉」人の想いや願い、そして怨みなんかが具現化した生物のこと。
ふつう一般人には見えないが彼らは実際に存在し人に影響を及ぼす。
そうすると、影響された人物は自我を失い怪物の傀儡になってしまう。
そうすると様々な事故や事件の原因になる。
それを排除し社会を守るのが言霊師の役割なのだ。
そして、七大家。
言霊師たちを束ねる代表の血筋。
彼は全国に点々といる。
さらにその上には「長老会」という重役の集まりがある。
そして、彼女・天宮泉真はその言霊師であり七大家の娘なのだ。
そう。それが俺の勘違いその1。
「いや、あの場面みたら誰だってあせるよ。」
だって歩道橋の手すりに立つなんて考えられんし。
「私は見やすいようにあそこに立って狙ってたのよ!!」
そして、俺の勘違いその2。
彼女はあそこから飛び降りようとはしていなかったこと。
話によるとなんでも電車の上に例の木葉がいたらしい。
彼女はそれを狙っていたようで、見やすいようにあそこにたっていたらしい。
ちなみにその木葉は残念ながら俺のせいで逃がした。
そして、その代償として巨大パフェを奢っている今に至る。
「また、あいつ探さなくちゃ。」
泉真ちゃんはポツリと呟いた。
巨大パフェはほとんどたべている。
すげえな。
「ごめんね。なんなら俺も探すの手伝うよ~。」
そんな切ない顔されるとさー。
おじさんこまっちゃう。
俺がそう言うと泉真ちゃんはキリッとした顔になって
「いいです。一般人に助けられるほど落ちぶれてはいません。」
とパフェにがっつきなが断ってきた。
「それに、」
「え?何?」
「あなたみたいな見ず知らずの怪しい人をつれてなんて行きたくないです!」
いやいやいやいやいや!
「ちょっと待って!俺怪しくないし!なに勝手に変態扱いしてんの?!」
「だって金髪に和服って、しかも人の足に抱きついてきたし。」
「この格好は俺のアイデンティティーなの!足には抱きついてない!しがみついただけだし!しかも、そんなの怪しいやつと思うならパフェおごらせんなよ!」
「それはそれ。これはこれです。」
「うわぁ、そうなっちゃうんだ。パフェはどうしても食べたかったんだ。」
なんて適当。てか、ひょいひょい知らんやつについてくるのも危機感ねーな・・。
「さて。ご馳走さまでした。」
泉真ちゃんは見事あの巨大パフェを完食。
どこにはいんだよあの量。
「さてと、私はもう一仕事あるのでこれで。」
「待てよ。これから探すのか?」
もう21時だ。流石に女子高生が出歩いてはいい時間帯ではない。
「そうだけど。なにか?」
あっけらかんとしてるけど。
「危ないでしょ?もう今日は家に帰ったら?」
だいぶ疲れてる。
俺は思わず家に帰るのを勧めた。
しかし。
「一般人に言われる筋合いはないわ。ご馳走さまでした。そして、さようなら。」
今までとは違う態度で冷たく言い返された。
「おいっ」
俺の呼びかけも無視しさっさと店を出て行った。
ありゃりゃ。
「こりゃ、大変だ。」
俺は残っていたコーヒーを飲み干してファミレスを後にした。
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残ざんな目にあった。
折角今まで狙っていた木葉を見ず知らずの一般人に邪魔され逃がした。
「はぁ・・・・・・・。」
思わずため息が出た。
『おい!』
あの人なんか呼び止めてたけど。
木葉を捕まえようとした私を自殺者と勘違いして止めた男。
お節介な意味わかんない変態。
逃がした代償としてパフェ奢ってもらったけど。
「私もなんであんな人についてっちゃったんだろ。
」
なんとなく悪い人間ではないことはわかった。
『危ないでしょ?もう今日は家に帰ったら?』
心配されたのなんて久々だった。
だって誰も私になんて関心ないから。
思わず冷たく返しちゃった。
だってこれ以上つっこまれて巻き込むわけにはいかないし。
『泉真ちゃんっていうんだ!』
名前も久々に呼ばれた。
不覚にも少し嬉しかった。
本当に人に呼ばれたのは久々だったから。
あれ。そういえば。
「あの人の名前聞いてない。」
ふと、思い返しても彼の名前が出た場面はない。
まあ、いいか。
もう会わないし。
そう思うとちょっと残念な自分がいた。
「泉真。泉真。」
耳元から聞きなれた声が聞こえた。
「何?日角。」
そう訪ねると突風と共に1羽の鷹が出て来た。
鷹もとい日角はひょいと私の肩に止まった。
「泉真、あの男なんだったんだろうな!」
日角は私の使い魔の木葉。
私の唯一の友達であり、家族。
「さぁ。でも、悪いひとではなかったわ」
「にしてもあの男・・・・。なーんかにおうんだよなぁ。」
バサバサと飛びながら日角は言う。
におう?
「どうゆうこと?」
「なんかさぁ、こう・・・・。獣臭いような、なんか変な感じがしたんだよなぁ。」
「獣・・・・。まさか、木葉がとりついてるとか?」
木葉は人に干渉しとりつく、とりつかれるとその人の自我はなくなり事故や事件の原因になる。
でも、とりつかれてる人間があんなことするだろうか。
「うーん・・・・。もっと別の近いものが・・・・。」
そんな風にふたりで会話をしていると
《ァァアァア・・・・。》
と、どこからともなく怪しい声が聞こえてきた。
この気配は・・・・!!
間違いない私が今日逃がした木葉だ!
「日角!」
「あいよっ!」
私は人気のない道に入っていった。
この先は彼と会った歩道橋へと繋がる。
あの木葉はどうやらここら辺をうろついているみたい。
黒くもやがかかったような生き物。
形をなしておらず口だけがもやについているような感じだ。
木葉は小さな公園へと入っていった。
ブランコと錆びたベンチしかない公園。
木葉はうなりながらブランコの近くでとどまった
《サミシイ、サミシイ。ダレカ、サミシイ。》
木葉は人の言葉が具現化した怪物。
おそらくこの木葉は誰かの寂しさが作ったもの。
「そこまでよ。」
私は木葉の前に立った。
嫌い。こんな怪物いなくなってしまえばいい。
木葉はブランコにしがみついてまだぶつぶつと言っている。
「あんたはこんなところにいていいやつじゃない。
早く木にかえりなさい。」
木に帰るとはこの木葉の主。発端の人間に返すということ。
それが私達、言霊師の仕事。
《カエル?》
え・・・・!?
「こ、こいつ僕らの話を理解している」
「なんで!?普通はこんな」
そう、普通はこんな風に言霊師の言葉になんかには反応しない。
反応するってことは・・・・。
《ドコヘカエルノ?キミモボクモドコヘカエルノ?
》
何処へ・・・・?
「わ、私は、」
だ、だめ。
「泉真!飲まれちゃダメだ!取り込まれるぞ!?」
《キミモナイノ?ジャアボクトイッショニ》
《イコウ?》
その瞬間、木葉が私の腕をつかんで笑った。
「ひっ・・・・。」
「日角!!」
そう私が唱えると突風が吹き荒れた。
木葉は飛ばされ私から離れた。
「大丈夫か?!泉真!!」
日角が来て心配してくれる。
「う、うん。」
大丈夫。私はあんなやつと一緒じゃない。
《ドウシテ、ドウシテ、キミモイッショジャナイガァァァア!!》
そう叫びながら木葉はこちらに向かってきた。
「違う!!私はあんたらとは違う!」
私はポケットに入っていたボールペンを取り出した。
「言葉の刃を、緋刀!!」
そう唱えるとボールペンは刀に変形した。
「こうなったら抹消するのみ。」
私は木葉に向かって走り出した。
《ガァァァアァァアァア!!》
「やぁぁあ!!」
木葉に斬りかかった時だった。
次の瞬間目の前に
白くて大きな狗の獣が舞い降りた。
「やっと、見つけた。泉真ちゃん。」
金色の髪をなびかせている男を乗せて。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「いやぁ、探した探した。何処へ行ったかわかんないから最終手段使っちゃったよ。」
そう言いながら呑気に狗の上でしゃべる男。
金髪に和服はいつみたって違和感しかない。
「なんで、あんた。」
ていうか、この大狗は。
「おい!樹実。何時までこうしているつもりだ。」
喋った!!?
「あ、わりわり、降りる降りる。ありがとねー。
ごくろうさん。藍ちゃん」
「まったく!お前は何故こんなときに呼んで肝心な時に呼ばんのだ。」