表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

人食い龍と死にたがり

作者: 小淵啓太

むかしとある山奥に一匹の龍がすんでいました。

龍は人間が大嫌いで縄張りにはいった人間は全員たべてしまいました。

あるとき一人の人間がやってきました。

龍はいつものように人間を食べようとしましたが、人間は泣きも喚きもしませんでした。

いままで龍を目にした人間は怯え、糞尿をたらし、食わないでくれと懇願しました。

ですがこの人間は龍をみて笑いすらしました。

龍は不思議に思って人間に聞きました。

なぜお前は怖がらない?

人間は答えました。

殺してくれ。

聞くと人間はたったひとりの家族を失い、生きる気力を失ったそうです。

龍は怯えもしない人間を食うきがありませんでした。

恐怖にふるえる人間を食べるのが好きなのであって、笑いながら死んでいく人間はいりませんでした。

ふと龍は思いつきました。

家族とはどんな形でどんな格好をしているのか。

人間はそんなことより早く殺してくれといいましたが、龍はそれを許しませんでした。

人間は渋々家族について話し始めました。

龍は話を聞き終わると、変身しました。

人間はよろこびました。

目の前に死んだと思っていた。家族が現れたからです。

龍は考えました。

この人間の家族のふりをして喜ばせてやろう。そうして死にたくないと思わせてから食ってやるのだ。

龍は人間と山をおり、人里で暮らすことになりました。

嫌でしたが、この人間を食うまでの我慢だと思いました。

人間と龍はふたりで仲良く暮らしました。晴れの日も雨の日も風の日も雪の日も曇りの日も、手を取り合い、協力して暮らしました。

そうしている内に龍は人間が好きになってきました。

人間といると胸がぽかぽかしました。

龍は次第に人間を食べるということを忘れてしまいました。

龍は長い人生の中で一番幸せでした。


あるとき、龍は山に山菜を取りに行きました。

夕飯の鍋に入れる具材でした。

帰ってから人間と鍋を囲うのが楽しみでした。


里に戻ると、血の匂いがしました。

龍は驚き、人間を探しました。

人間は死んでいました。

山賊に殺されたのです。

龍は泣き、怒りました。

山賊を皆殺しにしました。



龍は人間の体を連れて、山奥に戻りました。

山の神様に人間を生き返らせるよう頼みました。

もしお前がわたしの代わりをしてくれるのなら願いを叶えよう

神様はそう言いました。

龍はすぐに頷き、人間を生き返らせました。

生き返った人間は龍を探しましたが、見つかりません。

龍は神様になってしまったのです。

神様はそう簡単に人間と会えることはできません。

人間は悲しくなりました。死にたいと思いました。

けれど死んではならないと思いました。

人間は山にお社を建て、そこに住みました。

いつか龍に会えることを信じて。


短いですが読んでいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ