第一話・ひいおじいちゃん
車は険しい石や草まみれの山道を車体を大きく揺らしながら進んでいた。周りは木々で囲まれていたが、ところどころ日が漏れて気持ちがいい。あと15分くらいで着くだろうか。
「母さん、あと何分で着く感じ?」
「もう着くわよ、あとー10分無いくらい」
俺の家族は毎年の夏休みに、岡山県の山奥にあるひいおじいちゃんの家に訪れることが恒例となっている、つい先月までまたひいおじいちゃんにあって2人でオセロでもしようかなと考えていたが、3週間前に亡くなった、老衰らしいが去年会った時はそんなに弱っている感じもなかった。不思議とあまり悲しくは感じられなかった。毎年のようにひいおじいちゃんと山に虫取りに行ったり、オセロを夜の1時までやって、母さんに叱られたり、思い出はたくさんあるはずなのに。
「ついたよ、もう親戚の皆さんはついてるらしいから、しっかり挨拶してね。」
「分かった」
親戚の人といっても母の代の兄弟だったりしかいない。自分の祖父母つまりひいおじいちゃんの子供の代にあたる人たちとはなぜか会った方がない。
親戚との挨拶や軽くひいおじいちゃんの遺影に挨拶をして、少し家の周り、といっても森だけど少し散歩してみることにした。なぜなら多分もうここには来ることはないだろうと思ったから。
ミーンミンミンミーーン…
チュンチュン…
たくさんの虫や鳥が鳴いていて、まるで俺が森の生物たちに歓迎されているような気分になった。何度ここに来ても新鮮に感じられる。
森の中を少し進むと俺のお気に入りの場所がある。お気に入りって言ってもひいおじいちゃんが昔に作ってくれた木製のベンチ。そこでひいおじいちゃんと2人で買ってきたアイスクリームを食べる。いろいろな思い出が蘇ってきた、少し、目を瞑って思い出に浸ろうか。と思った時。
「あれ?もう夕方?」
おかしい。自分が家を出たのが昼の1時半くらいだったはずだ。まだ30分も経っていないのに、もう空がオレンジ色に変わってきている。
「知らない間に寝ちゃったのかな?」
あいにく持っていたスマートフォンを家に忘れてきてしまって時間を確認できない。とりあえず家に帰ることにした。
「あ、あれ?」
家に着いた頃にはすっかり日が落ちて周りが見えにくくなる頃だった。しかし家の雰囲気が違う。たしか2年前にリフォームをして屋根がコンクリート製のものに変わったはずだ。なのに、なぜか瓦だ。しかも家は古く今にも崩れ始めてもおかしく無い見た目になっている。でも間違いなくひいおじいちゃんの家だ。
「おーい、そこの君!なにをしてる!ここら辺は熊が出るから入りなさい!」
俺は驚いておじさんの言うことに従って家に入った。やはり、今とは違う。かまどのようなものがある。
「ここって黒河昭彦の家ですよね?」
「黒河はあってるが、昭彦はうちんとこの長男坊だ。おれは黒河一男。」
ひいおじいちゃんが長男坊?!




