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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

【復刻短編版】妖魔転記—ヒキニートが転移するまで—

作者: 華邨りい
掲載日:2026/03/13

—九畳ほどの部屋に佇む人物—凛嶋(りしま)伊戸(いと)

彼は俗に言う“ヒキニート”である。

今日は水曜日、平日であると言うのに部屋に籠る理由…ゲーム廃人であるからであった。


「よし!超高難度課題(ミッション)クリア!」


…聞いての通り、ガチ勢である。

朝起きたら課題(ミッション) を確認し、受注。あとはクリアするまでやり込み続ける…

そんな生活を続ける彼にとっては平日など休日と同じなのである。そんな時、


『ピコン♪』


と聞き覚えのある通知音。伊戸はメッセ用端末に目を移した。


「……『妖魔の世界へのご招待』…?なんだこれ。新しいクエストか?」


そこに書いてあったのは、課金が必要な『妖魔の世界へのご招待』と いう提示(ボタン)だった。

メッセの対処、ゲーム廃人である伊戸は迷うことなくどうするかを決めた。


[ピッ♪]


その対処法こそ…『提示の場所(ボタン)を押す』であった。


「さて何が出るか…特殊アイテム入手のための課題(ミッション) か⁉︎はたまた…」


と想像を働かせていると…

眩い光がメッセ用の端末、伊戸、部屋のもの諸共包み込んだ。

     ≠≠≠

眩い光の放射が起こってから数秒…伊戸はやっと目が慣れてきた。


「なんだ?今の光…今まで起こったことない演しゅ………は?」


伊戸が喋っていた時、

()()()()()()()()()()。その事とは何か、それは…

—“ 『(ドラゴン)』 同士の対決”—。


「はあぁぁぁ⁉︎」


普段大声を出さない伊戸が大声を出すに十分な光景であった。

     ≠≠≠

数分間、伊戸は目に入ってきた意味不明な光景のせいで意識を失った。

そして、目が覚めたころには『(ドラゴン)』はもう居なく、のどかな草原が目の前に広がっていた。


「なんだったんださっきのは…」


(ドラゴン)』同士の対決を眼前にして言えることなどない。

伊戸はまた、気を失いそうになっていた…

     ≠≠≠

……『(ドラゴン)』のことは忘れて、状況整理をしよう。課金了解の場所(ボタン)を押したら眩い光が出て…ここ、と…

ん〜要するに謎の世界に()()()()()ってことかな?いやいやそんなわけないよなぁ…?

———はい。ワープしたみたいです!(諦め)

状況がわかったとて伊戸は理解ができなかった。

     ≠≠≠

さて、状況整理(失敗)が済んだ後何をするべきだろうか。ゲーマー歴10年以上、伊戸の場合は…

▶︎町に行く で ある。と、何故か持っていたスマホのタスク管理アプリに入力した。


「…町に行くにしても、ここどこだよ…せめて()()()()とか分かればなぁ…」


現在いるのは森?の中。町に行こうにもどこにあるかわからないのだ。——その時、


「【了】…(コモン)スキル「位置情報提示」を取得しました。」


と伊戸の脳内に謎の声が聞こえてきた。


「は…?位置情報提示…?(コモン)スキル…?」


?を連ねている伊戸だが無論脳内で意味は完結している。

RPGではよくあるスキル取得であろう。だが、伊戸が驚いたのは()()()()()()

『何故脳内に()()声が聞こえてきたのか』だった。


「【解】伊戸様がこの世界に転生(ワープ)した際に生まれた(ゴッド)スキル「情報神(アナライトル)」による影響です。」


そう思っているとまた脳内から()謎の声が解答してくれた。


「ア、情報神(アナライトル)?それが名前か?」


と脳内の情報神(アナライトル)と名乗る者に話しかけるよう問いた。


「【解】名前は存在しません。自由に呼んでください。」


成程…?どうやら「名前」という概念はないようだ。


情報神(アナライトル)だと長いからな〜…名前の途中を取って「情神(ラトル)」って呼ばせてもらうよ。」


適当に作った名前だが、気に入ってくれるだろうか?


「【了】只今この時から、G(ゴッド)スキル情報神(アナライトル)の呼称名は「情神(ラトル)」です。」


!大丈夫みたいだ。無反応って感じがするけど…

     ≠≠≠

……情神(ラトル)の一件も終わったし、早速さっき取得したスキル(位置情報提示)使ってみるかな!


「【解】スキルの場合は名前を唱える。魔術の場合は詠唱で発動が可能です。」


こりゃまたご丁寧に…では早速、使ってみようか!


「えーと…?『位置情報提示』!」


そう言った瞬間、伊戸の目の前にTP(タッチパネル)のようなものが現れた。

そこにはスキル名の通り、地図が表示されていた。

TP(タッチパネル)上に表示された地図を見て、伊戸は現在いる位置と次向かうべき方向を決めた。


「よし!位置情報と向かうべき方向もわかったことだし、次は…」


少しだけ考え、伊戸はこう言った


— 「なぁ情神(ラトル)、さっき言ってたC(コモン)とか(ゴッド)ってなんだー?」


と、情神(ラトル)に話しかけるように問いた。

おそらくレアリティだろう。だが、いくらRPGと似た世界でもレアリティの順は違うことがある。


「【解】スキルのレアリティの順は、下から(ノーマル)(コモン)UC(アンコモン)(レア)SR(スーパーレア)U(ユニーク)UR(ユニークレア)(ゴッド)GR(ゴッドレア)、です。」


……成程?つまり位置情報開示はあんまレアではないけど情神は相当()()()方だと…

そして情神より上のGR(ゴッドレア)スキルを持っていた場合最強だと…?


「【否】GR(ゴッドレア)()()()に知られている最高のレアリティであり一番上のレアリティではありません。

【又】レアリティが高いほど取得難易度と効果の程は変わります。」


ほほーん?じゃあ情神(ラトル)ってエグい効果持ってたりする?


「【解】名称名情神(ラトル)はあらゆるスキルや魔術、魔物(モンスター)などの情報をいつでも提示できます。」


ほう?要するにどんなスキルでも魔術でも取得できるようなると?じゃあ…試すか


情神(ラトル)さん?炎系魔術が欲しいんだがー?」


と普っ通に魔術注文。——結果


「【了】【提】具体的な案をお願いします。」


…具体案が必要だった。


「じゃあ炎を手から出して魔物(モンスター)とかに攻撃できるスキルで!」


具体案が必要という事なので、思った事を取り敢えず口に出した。


「【了】、【準】、【解】、完了。………取得しました。(ノーマル)ランク、魔術名『火球(フィアボール)』です。」


お、取得に成功したみたいだな…発動方法は名前を叫ぶんだっけ?…『火球(フィアボール)』か…発動してみよっと。


火球(フィアボール)ッ‼︎」


…………………………?


「………【報】魔術の発動には詠唱が必要です。」


…と、呆れたような声で報告をしてくれた。

     ≠≠≠

わざとらしい咳払いをした後、伊戸は詠唱を始めた。因みに…詠唱の言葉は取得した際、なんか理解した。


「えーと…!flilraeb……?」


…よく分からない言葉を発した瞬間、体に不思議な感覚がした。

体の中から何かが湧き上がってくると言うか…熱が出ているようだと言うか……

だが兎に角、伊戸の掌上に小さな火の玉のようなものが出現した。でも何というか…()()()()すぎた。


「おぉ〜…」


予想通りすぎて伊戸はあまり喜ぶことができなかった。それを裏腹に…


「【確】伊戸様の体内魔力の消費と共に掌上の火の玉を確認。問題なく発動したと思われます。」


と、情神は今の状況を丁寧に説明してくれた。


「つーか、発動したはいいけど当てるような相手いねぇんだよなぁ…」


今のままだとずっと掌上に火があるまんまだ。

すると、


{ガサッ}


と草の音が聞こえると同時に——なんか敵っぽいのが出てきた。


「ヴオォォォォォ‼︎」


と、いかにも魔物(モンスター)とかが出しそうな声を出して登場したそれを見て、伊戸は、


「…ッ⁉︎ラ、情神(ラトル)⁉︎あいつは何だぁ⁉︎」


と、叫ぶように情神(ラトル)に向かって叫んだ。


— 「【解】妖怪(フロスター)系統の一種『悪魔(デーモン)』かと思われます。」


と焦る様子ひとつなく無心解答。


妖怪(フロスター)⁉︎魔物(モンスター)だけじゃねぇのかよ‼︎あぁ!妖魔の世界ってそういうことね⁉︎」


焦りまくっている伊戸は、何故か俊速の勢いで事の状況を理解した。


「と、とと兎に角!火球(フィアボール)打ち込めばいいんだよな⁉︎………どうやって撃つんだよ‼︎」


焦りまくっている伊戸を裏腹に、情神は潔く綺麗に解答した。


「【解】魔術の発動後の使用は、使用系統魔術の発動で可能です」


使用系統魔術⁉︎何だそれ!今更かよマジで‼︎もっと早く言えよぉぉ‼︎(超早口)と嘆いていると


「【了】使用系統魔術を取得します。……取得しました。(ノーマル)ランク“常時”発動系魔術、名称名『発動(フォロー)』です。」


んなんか取得した⁉︎え、使用系統魔術⁉︎じゃあ今すぐ使えばいいんだな⁉︎


「…ッ…‼︎」


と、超絶焦りながら手を『悪魔(デーモン)』の方に振りかざすと…

——火球(フィアボール)は手から離れ、飛んでいき、見事に『悪魔(デーモン)』命中し、なんとか事なきを得た。

     ≠≠≠


「【報】妖怪(フロスター)系統『悪魔(デーモン)』の討伐を確認しました。」


発動(フォロー)』を取得するまで走り続けていた元ヒキニートの伊戸は…

——だいぶ疲れていた。


情神(ラトル)…体力回復する系の魔術をくれ…」


疲れた様子ながらも回復系統を注文した伊戸を見て、情神(ラトル)はまたしても呆れたような声でこう言った。


「……【了】、【準】、【解】、完了。…………(ノーマル)ランク、回復系統魔術『回復(ヒール)』を取得しました。」


よし…回復系統を取得することができた…と、兎に角発動(フォロー)だ…!


「… sytraemvioncaer……」


と、だいぶグダグダながらも(よく分からない)詠唱をした瞬間、伊戸の周りが緑の光で包まれた。


「【確】『回復(ヒール)』、発動。伊戸様の体力数値から逆算…魔力消費量50弱、1分程度かかると思われます。」


     ≠≠≠

情神(ラトル)の言った通り、1分程度で体力が全回復した。軽くストレッチをしてから伊戸は次なる目的を決めた。


「うっし!魔術とスキルの確認、取得もしたことだし街に向かうか!」


と、伊戸はワープした世界で妖怪(フロスター)とやらに会ったにも関わらず、何気に楽しそうな様子で街の方へと走っていった。

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