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第九十九話 決戦の果てに

 俺は、その目を開けた。目の前には白い壁のようなののが写し出されていた。うっすらとした意識の中、その異常に気付き、意識を完全に覚醒させた。

 すると、起きたからか周りに人がいたのを視認した。


「大丈夫か?」


その声の主こと、先生。いや、親父はそう心配の声をかけながらも、俺に近寄ろうとする。

 それを俺は手を使って制止した。


「大丈夫だよ。もう、全快だ。ところで、ここは?」

「都内の病院だ。で、お前が回復するには、あと2ヶ月程度ってところらしい。」


それを、俺はうっすらと微笑を浮かべて「そうか」と言った。

 そう、親子同士での他愛ない会話をしていると、がらりと病院の扉が開く音と共に、見知った顔がどんどん入ってくる。


「元気してた?大丈夫?」


他にも、「安心したぜ。」など、静かな病室内は、一瞬にして賑やかに成った。

 だが、校長のまあ。という言葉により、その場はまた静寂に包まれた。


「とにもかくにも、お主が無事で何よりじゃ。にしても、まさかこいつの息子だったとはなぁ。」


そういって、親父の方を見る校長。親父はどこか照れ臭そうにしながらも、頭を掻いている。

 そんな中、ただひとり、村長はうつむいたまま、その顔をあげることはなかった。


「大丈夫ですよ。あれは先代の村長がやったことでしょう。ですから、今の村長に非はありません。」


村長は、その顔を上げた。その顔には、一粒の涙がにじみ出ていた。

 俺は、その天井を見上げる。その天井は白く、横から、その眩しい太陽が俺を見ていた。まるで、頑張ったね。と労いの言葉をかけるように。


「そうだ。それで、学校のことなんだが、俺はあの学校を辞任する。もう、目的もなくなったんでな。俺は静かに、お前と暮らすことにするよ。」


一体、何年ぶりだろうか。いつも料理を任せていたあの親父がそういうということは、つまりはそういうことなんだろう。なら、期待しておくとしよう。

 その、親父の手料理ってやつを。


「期待してるよ。」


そう一言だけ告げた。






 そうして、あれから2ヶ月がたち、俺は無事に退院することができた。

 そんな俺は今、あの村とは離れた街にすんでいる。そう、親父と一緒に。


「朝飯だぞ。」


そう、諭すように俺の肩を揺さぶりながらも告げる父。俺は、そのお陰か早い段階で目を覚ました。


「ああ、今行くよ。って、やっべ!遅れちまう!」


そうだ。今日はカナとデートの約束をしてるんだった。あと三十分。行けるか?いや、行く!

 そういって、三分で朝食を食べ、外出する。


「行ってくる!」

「いってらっしゃい。」


俺は、その言葉に押され、外に出るのだった。

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