第九十七話 拮抗
俺の猛攻により、疲弊した彼女はその眼光を俺に見せつける。
「許さない。何度も何度も私の計画を邪魔しやがってぇ!」
その瞬間、辺りの空気がよりいっそう重くなっているのを感じた。いや、違う。本当に重くなっているんだ。ふと、彼女を見る。だが、そこに彼女の姿はなく、気づけば背後から何かが近づいていることに気づいた。
それを、紙一重で回避したのだが、その避けた地点にも攻撃は来ていた。
「こいつは、ヤバイかもな。」
それを移動させ、無効化し、俺は、そう言葉を吐いた。
それでも、彼女は一言も発さずに、その膨大な魔力を俺に向ける。
ヤバイ。正直、勝ち目がない。ビジョンが、思い浮かばない。だが、きっとどこかに彼女の弱点があるはずだ。
「なら、これしかないよな。」
そういって、目を瞑る。そして、その目を再び開け、次の瞬間、俺は彼女の眼前にまで移動していた。
そこで、俺は拳を振るう。だがもちろん、彼女はなんともないかの言うに振る舞う。
「残念、今のはフェイントだ。」
俺は既に彼女の背後に回り込んでおり、今度こそ、俺のこの拳を彼女へと振りかぶった。
そして、ドカッ。という音と共に、俺の右こぶしは、なにかにあったったような感覚が伝播する。
「ヘッ、一丁上がりってやつだ。」
そこで俺は、ボロボロになった彼女に違和感を覚えた。
何故だ?何故、治そうとしない?もしかして、そうなのか?いや、そうだ。こいつは、治そうとしないんじゃなくて、治せないんだ。いける。これなら、俺の勝ち目は十二分にある。
「見切ったぞ。お前の動き。さあ、始めよう。ファイナルラウンドってやつを。」
そういって、俺は、向かってくる彼女に対し、空気を圧縮し、模擬的な壁を作る。それのお陰で彼女の隙が晒された。そこを、俺は二発程殴り、確かなダメージを与える。
文字通り、俺は何度も何度も彼女の動きを見切り続け、ダメージを与えていく。
「ハァ、ハァ。」
戦闘が始まって、30分程度が経過しただろうか。その時から倍化魔法を使っていたせいか、俺の体力は限界を迎えていた。
しかし、それは相手も同じ。俺と同様。とまではいかないが、かなり疲弊していた。
「これで、あんたは終わりよぉ!」
彼女はそう叫ぶなり、杖を上にかかげ始めた。なんだろうと疑問に思ったが、次第に大きくなっていくそれの正体にに気づいた俺は、瞬間、空気魔法を発動していた。
だが、それでもそれはとどまることを知らないのか、大きくなっていき、遂に、先生たちを追いやったあれと同様のような物に成った。
「くそが。」
そう弱音を吐くうちに、それとの距離は10メートルもないほどになっており、そして、それは俺と衝突した。
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