第九十四話 リミット魔法
俺という人間が使う魔法は、『リミット魔法』だ。一見リミットを解除するだけに見えるが、その逆のこともできる。例えば、そうだな。相手にリミットを設ける。とかかな。
だが、相手が本当に『過去に戻す魔法』なのか、いまいちつかめていない。だからこそ、俺は様子を見て、その魔法を使う。
「なあ、お前は、本当に過去に戻る魔法なのか?俺は、ほかにもたくさん魔法を使っているように見えるんだが?」
そういうと、彼女は口が裂けそうなほどにまで口角を上げ、高らかに笑った。
その行為が俺からしたら見下されたような気がしたので、「何がおかしい?」そう聞くと、
「今気づいたの?もっと前に気づいてたと思ったんだけど。まあ、いいや。教えてあげる。私の魔法は『魔法を奪う魔法』。だからこそ、こんなにたくさんの魔法が使えるのよ。」
なるほど。だからか。なら、俺がやることはたった一つ。その魔法の中で、一番厄介な魔法にリミットをかける。それだけだ。そう、『過去に戻す魔法』を。
そうして、俺は彼女に向けて手のひらを突きつけ、集中する。
「何しようとしてるのよ?まあ、あなたに勝てる算段はないし、別にいいわよ?ほら。」
そういって、腕を上げる彼女を、俺は無視し、彼女の中にある無数の魔法の中からその魔法を見つけ出す。
あった。だが、その言葉を出すことはせず、俺の魔法を使う。
「リミット、設置完了。さあ、こっちも準備ができたぜ。来いよ。」
その瞬間、俺はリミットを解除した体を動かし、彼女の眼前にまで迫る。
が、もちろん今度は物理特化の防御魔法を使われ、ガードされる。
そう思っているんだろう。ただ、今回のこの攻撃には、魔力が混じっている。なら、答えは簡単。この攻撃は、彼女に届く。
「ぐっ!!なんで!魔法が使えない!!」
「さあ、これでお前は体力を回復させることはできない。これで、堂々と戦える。」
するとレイナは歯をくい縛りながら、その負の感情をむき出しにする。
それと同時に、魔力が増大していく。なんだよそれ、これじゃあ、魔法に制限を入れた意味がないじゃないか。どうする?いや、どうしようもできない。俺一人じゃあ、絶対に何もできない。
「もういい。この本拠地ごと、吹き飛んでしまいなさい!!」
そういって、巨大なナニカを作り出すレイナ。
だが、それをできる術を、持っていなかった。くそっ!!どうすればいいんだ?何か、何か方法は?
それでも、その何かは次第に大きくなっていき、そして、部屋一個分ほどの大きさになり、樽俎頴娃町は止まった。
「くそっ、たれがぁぁぁ!!」
それが振り下ろされるのと同時に、俺はすべてのリミットを解除し、その何かへと対抗するのだった。
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