第八十六話 奇襲
そうして僕たちは本拠地に乗り込んでから、いろんなところを歩いた。が、誰一人として接敵しない。
そんなことはあるはずがない。僕が本拠地にいない間、何かがあったのだろう。だが、だとしてもこれほどまで人気がないと不安まで感じてくる。
「いったい、どこに行ったというんだ。」
と、レイナの隣でそんなことをつぶやくと、レイナは「わかんないわよ?」とだけ言って僕の前を歩き始めた。
はぁ、とだけため息を吐いて、僕はレイナと一緒に歩き続けよう。そうおもった時だった。
がれきが一気に崩れる音とともに、僕の頬に、何かがかする。
「なんだ?」そう焦りの声を漏らしながらも、その何かがかすったところを、手でなぞる。すると、その手が赤色に染まっていることに気づいた僕は、それがなんだか理解した。
「ほう、これを何とかよけるか。さすがは、俺がしばらく目を置いていただけある。」
そういって、その土煙が収まり、そいつの正体が明らかになった。
が、僕はあまり驚かなかった。なぜなら、一か月ほとんど付きっ切りで彼がいたからからだ。」
「レザー。君が僕たちに攻撃してきたということは、そういうことなんだね?」
するとレザーは「ハッ」と鼻で笑い飛ばしながらも、その剣をすっと抜いて、戦闘態勢に入る。
「ああ。そういうことだ。俺は、あくまでお前の世話をしていただけなんでな。」
「そうか。ちょうどよかった。僕も、第二次試験の時の雪辱を晴らしたいと、ずっと思ってたんだ。」
そう僕が言った瞬間、レザーが僕めがけてその剣を振り下ろす。が、僕はそれを剣で相殺し、その生まれた隙をついて左拳を顔面に突きつける。
が、もちろん相手も同じ考えだったようで、その拳もまた相殺された。
一見五分五分の戦いに見えるだろう。だが、ほんの少しだけ、ほんの少しだけだけど、僕は徐々に押されている。
「くっ、ここだぁ!!」
そう苦し紛れの攻撃を放つが、難なく回避されてしまう。そして、隙ができてしまいその攻撃を、もろに食らう。
勢いをころし、何とかその場に踏みとどまる。だが、それだけではこいつは倒せない。とはいえ、今全力を出してしまうとおそらく、この作戦は失敗する。
じゃあ、どうする?僕にできて、彼にできない唯一のアドバンテージ。それを探せ。そして、こいつを倒せ。
「本気で行くよ。」
そういって、僕は様子見のために、とりあえず風魔法を発動してレザーの魔法を探ることにした。
そしてもちろん、僕の風魔法は相殺されてしまう。だが、それで攻撃は終わりじゃない。
僕は風魔法を発動している瞬間、背後に回っていた。
剣を振り下ろし、その剣は、、、、、なぜかレザーに直撃し、僕は勝利を手にしてしまった。
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