第七十八話 落ちこぼれvsメイ
あれから、どれだけ歩いただろうか。僕は、その長い時間で、様々なことを考えながらも、出口へと向かっていた。
ふと、横を見る。カナはかなり不安そうな顔をしながらも、僕の進む方向へと合わせてくれている。
「とまって。」
その言葉が聞こえた瞬間、僕とカナの足は止まる。
いったい誰だ?そう思いながらも、その正体を確認する。すると、そこにはメイがいた。だが、今までかかわって来たメイとは打って変わり、その敵意をむき出しにしていた。
「早く避難しなさい。さもないと、あなたちが死んでしまうのよ?」
「避難してるのさ。ただ、方向が違うってだけで。」
そういって、僕は彼女の横を通り過ぎようとした。が、目の前に剣が出現する。慌てながらも、何とか回避し、ふぅ。と安堵の声を漏らす。
「そう、つまりあなたは、そういうことなのね。」
今の行動と言動で察しがついたのか、メイはそんなことを言った。
そうだよ。という代わりに、僕は無言の首肯を行った。
「じゃあ、死んでもらうしかない。」
そういって、僕めがけて一直線で突っ込んでくるメイ。それを僕は戦闘態勢に入るだけで対応しようとしていた。
僕は、メイの戦闘スタイルはどんなものなのか、それを知らない。だけど、一つ言えることは、彼女は、僕と同等レベルの身体能力であるということ。
「こっちも行くよ。くれぐれも、死なないようにね?」
そういって、僕もメイめがけて一直線で突っ込む。もちろん、その衝撃というものはすさまじく、あたりの壁に、ひびが入るほどだった。
だが、そんなものは関係ない。僕は、この拠点から脱出する。だからこそ、負けるわけにはいかない。
「しぶといね!だけど、私にはかなわない。」
そういうと、突然メイが僕の背後に回り込んだ。いや、正確に言えば、ほんの1フレーム。その間に彼女は背後に回り込んだのだ。
「さあ、それはどうかな?もしかしたら、こんな落ちこぼれでも、勝てることはあるかもよ?」
そういって、彼女ほどではないが、僕も同様に背後に回り込んで見せた。
もちろん、驚くメイ。だが、それでいい。僕は、そのすきをつこうとしていたのだから。
「風は、相手を拘束する。」
そう言霊を発すると、彼女は瞬く間に身動きが取れなくなり、その場にとどまる事しかできない人間と化した。
そして、そんな彼女に、僕はその剣を振り下ろす。
「じゃあね。」
そういった瞬間、メイは気絶した。
予想通り。そう勝ち誇りながらも、彼女をしっかり横たわらせ、立ち上がる。
「行くよ。カナ。急ごう。」
そういいながらも、僕とカナはまた、出口へとその歩を進めるのだった。
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