第七十四話 ユイガ&レイナvs最終兵器
あれから数分が経過したが、敵と接敵することはなく、ただひたすらに、俺たちは歩いていた。
少し雑談をして気を紛らわせようとしたが、この作戦の重要さを思い出した俺は、すぐに過去の自分を戒めた。
そして、次の瞬間、魔力の塊のような奴が、俺たちのもとへと向かってきていることに気づいた。
「来たわよ。」
レイナもそれを感じ取ったのか、お互い戦闘態勢に入る。
そして数秒後、上方からとてつもない音が聞こえたかと思えば、俺の眼前に、そいつはいた。
それを何とか倍化魔法で防ぎ、一定の距離をとる。
「マジかよ。急すぎて心臓が止まるかと思ったぜ。本当に、この魔法には感謝しかないぜ。」
赤いハチマキを巻きながら、そう安堵の声を漏らしつつもつぶやいていた。のだが、間髪入れずに俺のもとへとまたもや攻撃を仕掛けてくる。だが、それを直で受け止め、反撃をする。
「お返しだよっ!!」
そう殴るが、彼女もまた、俺と同じように拳を直で受け止めた。
一瞬、夢かと思った。だって、こっちは倍化魔法を使っているのに。だ。なのに、それを受け止めた?ありえない。だけど、それが現実で起きていることだと即座に割り切り、殴打をする。
「これでも、食らいなさい!!」
俺が殴打をしている間。レイナも全力でアシストする。が、彼女は手を体にあて、その攻撃を何ともない表情で防御する。そして、一瞬隙ができてしまい、彼女の拳が俺の顔面に直撃する。
そのままよろけてしまい、体制を崩す。だけど、負けてられない。だからこそ、俺は体制を整え、反撃へ転ずる。
「負けられっかよ。この戦いでお前に勝たないと、俺はあいつに会える資格なんてないんだ!だからこそ、俺はお前に勝たなくちゃいけないんだぁ!」
ああ、そうだ。俺は、あいつに負けるわけにはいかない。
そうして、倍化魔法を使い、そいつの眼前にまで距離を縮め、殴る。が、もちろんノーダメージ。だが、あいつの魔法の発動条件が分かった。おそらくは、手を体に当てることで発動するのだろう。なら、触れさせなければいい。
「レイナ。アシストお願いできるか。お前のアシストが肝なんでな。くれぐれもミスしないようにしてくれよ?」
「私を誰だと思っているの?一応、私はAクラス二位なのよ?それぐらい、できて当然よ。」
頼りにしてるぜ。そう言って、俺はまたもやそいつのもとへと突っ走る。さっきと何ら変わらない戦法。だが、そいつと俺の距離がゼロになった瞬間、俺は風魔法を発動させる。
「風は、相手の行動を封じる。」
もちろん、あいつには到底及ばない風が生成され、ほんの一瞬だけしか隙は生まれなかった。だが、それでいい。
「頼む、レイナ!!」
「オッケー!」
その叫びとともにレイナは火球を生成し、そいつにぶつける。そして、攻撃を限界まで倍化させた俺は、そいつに、この拳を突きつけるのだった。
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