第六十五話 決戦間近
「早速で悪いんだが、お前は先に個室に戻っていろ。」
本拠地に帰るなり、僕はそんなことを言われていた。
だが、もちろん人間唐突にそんなことを言われても納得はいかない。なので、僕はなぜか、問うことにした。
「どうして?」
するとレザーは少し目線をそらしながらも、淡々と告げていく。
いったいなんでなのだろう。そう思っていた。
「お前は、たとえ今回みたいに手柄を上げても、結局は強制的に部下にしただけに過ぎないんだ。だからこそ、大事な会議を聞かれると俺たちの組織が負ける可能性だってあるのだ。だからこそ、教えられない。」
レザーはそういって僕に背を向けた。
くそっ。さすがは幹部。そう簡単には情報を渡してはくれない。だったら、ほかの奴から情報を聞くってのも、手なのかもしれない。
そう思いながらも、僕は個室へと向かうのだった。
あいつが組織にさらわれてから、どのくらい経っただろうか。
そんなことを考えながらも、俺、ユイガは一人で部屋の天井を見ながら横になっていた。
「いったい、いつになったらあいつに会えるんだか。」
そういった直後だった。誰かが、部屋の扉をノックし始めた。
急いで扉を開ける。すると、そこにはレイナがいた。
「どうしたんだ?」
そう彼女に聞いてみる。すると、レイナはやっとよ。と嬉しそうに言いながらも、その驚くべき情報について教えてくれた。
「奴らの本拠地の場所が絞れてきたのよ。」
「それは本当か?もし、そうだとしたら......。」
「正解。近いうちに奴らと戦うことになる。だから明日、みんなで作戦を立てることになったわ。」
もうそろそろだと思っていたが、まさかこんなにも早いなんてな。
そう心の中で歓喜しながらも、冷静にその情報を聞く。
「わかった。」
「あ、あと、最近グイド先生と特訓をしている。って聞いたんだけど、成果はどう?」
来たーーー!!!と、またもや心の中で歓喜する。
そして、俺は自信満々の顔で、こういったのだった。
「バッチシよ!!そして、今ならザードリといい勝負をするんじゃないか?」
「そう。それならいいわ。もし、オルトよりも弱いなんて言ったら、今ここで爆破魔法を打つところだったわよ。」
そういたずらっぽく言うレイナに、俺は少し苦笑しながらも、そうか。とだけ言っておいた。
そしてレイナと別れた後、俺は考え事をしていた。
「ようやく、お前に会えるな。」
そういって、天井を見上げる。
ああ。本当にようやくだ。俺はお前に会うために、特訓したんだからな。
「ぜってぇ、待ってろよ。」
そういって、俺はその腕を正面に突き出すのだった。
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