第六十一話 最終兵器
僕が落ちてからどのくらい経っただろうか。僕は、その妙な研究所のような場所で目を覚ました。
目を覚まし、状況を把握するためにあたりを見渡したり僕が落ちてきた場所を調べる。ただ、調べたりしたが、出口と言える出口を見つけることができなかった。
「探検。するか。」
本来であるならば、風魔法でここを離れることはいつでもできるのだが、僕の中にある好奇心がそれを否定した。だからこそ、僕は長年使われていないような研究所を奥へ奥へと進んでいく。
そして、進んでいると、色あせた赤褐色の巨大な扉が僕の目の前に現れた。
「なんだこれ。」
扉をさする。やはりかなりの年月が経っているのか、僕の手にはうっすらと扉の色が移った。
そして、しばらく考えた後に、僕はその巨大な扉を開けようとする。が、その瞬間、僕の体に衝撃が走る。
「っ!?」
思わずその扉から手を放す。
そして、僕がそのことに驚いて扉を見ると、扉がスパークをまとっていた。
その様子をしばらく見ているとそれは消え、ただの扉へと戻った。
「なるほど。」
つまるところ、外部の者がその扉を押そうとしたら雷魔法が放たれる。って仕組か。
そう理解した僕はその扉との距離を縮め、やがて、扉と五センチと離れていないくらいにまで近づき僕はその扉に手に平をかざし、風魔法を発動する。
「風は、扉を吹き飛ばす。」
そうして、その扉を僕が風魔法を使うことによって突破するのだった。
「え?」
その扉を開けた僕は、思わず素っ頓狂な声を上げてしまう。
カプセル。そう、それが、僕の目の前に何台も、いや、何十台とあったのだから。それを僕は横目で見ながらも、散乱していたその黄ばんだ書類を拾い、その内容を把握する。
『NO.1
あたりの町や村から、死体を集めることに成功した。これでようやく、あの計画が実行できる。』
そのうちの一つを見た後、僕はそのカプセルを見ていた。だがもちろん、そのカプセルには何も入っておらず、この場には、僕しかいなかった。
とどのつまり......
「もう、何年も前の話ってことか。」
そういって、残り14枚もあるその資料を読み始める。
その資料を読み終えた僕は、また前へ、前へと足を進み続けていた。
もちろん、その施設は無人なわけで、進んでも進んでも同じ光景だった。それでも僕は、何かわかるかもしれない。そう思って、進み続ける。
「ついた.。」
そういって、あたりには起動していないカプセルを見ながらも、その、たった一つだけ機能しているカプセルを見ながらも、言った。
「あんたが、噂の最終兵器ってやつか?」
と。




