第五十二話 本拠地へ
僕らはたわいのない雑談を繰り広げながら、暇をつぶしていた。すると、さっきまで気を失っていた生徒たちがぞろぞろと起き上がり、その状況に混乱する。
「おい、なんだここ!?おいお前、お得意の炎魔法でこの壁なんか燃やしちまえよ!」
「魔法が使えない!?どういうことだ!」
ますますパニックになる生徒たち、その生徒たちを見て僕も魔法を発動させようとする。
「え。」
そう思わず声を上げてしまう。だって、僕の魔法は、発動できたのだから。
「あなた、使えるの?」
「うん。なぜかね。だけど、ここを突破する方法がない。」
その言葉に、カナは落胆し、それにつられて僕も落胆する。自身の弱さに。すると、生徒たちの上方に何やら人影が現れた。そいつは徐々に降下していく。
やがて、そいつは皆が視認できるほどの距離まで来ており、そしてもちろん皆はそいつを視認し、さらにパニック状態になる。中には命乞いする者。喧嘩を吹っ掛けるものもいた。だがそいつは皆に興味を示さず、ただ淡々と言葉を並べ続ける。
「やっと目が覚めたか。まったく、長いこと待たせやがって。」
「お、お前は、誰だ!!」
「そうだな。一応名乗っておくとしよう。俺の名前は、レザー。リベレイション三大幹部の一人であり、リーダを務めさせてもらっている。そして、お前たちはこれからリベレイションの一員となってもらう。」
その言葉に、その場にいる皆が硬直する。
「ふざけんな!!誰がお前らなんかと一緒に!!」
そういう一人の生徒。そしてその言葉をくみ取ったのか、レザーはこう告げる。
「一員になりたくないというやつはたくさんいるであろう。だが、このままでは君たちがどうなるか。わかっているんじゃないのか?」
その言葉に、全員が黙り込む。そうだ。ここにいるのは、ほとんどBクラスかCクラスだったのだから。だからこそ、言い返せなかった。
「そして、大多数の者が魔法が使えないであろう。故に、俺たちに従うしか方法はない。おっと、話が長くなってしまったな。それでは、君たちをリベレイションの本拠地へと出迎えてあげよう。」
そうして、今まで僕たちを抑えていた魔法結界は焼失し、目の前には廃墟が立ち並んでいた。
「入れ。」
そういわれ、続々と指定された場所へと向かう。
そして、そこは地下室への扉だった。僕はその扉を開け、どんどんと奥へ進んでいく。そして奥へ進むたびに、明かりがうす暗くなっていくのを感じた。
だが、しばらく進んでいると今度は次第に光が強くなっていくのを感じ、突き進む。すると、そこには謎の畳部屋があったのだった。
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