第四十四話 村長の実力
確実に不意を突いた一撃、なのに彼は俺のその拳をナイフで受け止めていた。
「は?」
思わず声が漏れてしまう。なんで、ありえない。様々な憶測が俺の脳裏をよぎる。そして俺は気づいた。
「お前、気づいていたのか?」
「ああ。そうだよ。だって俺はそういう環境にいたわけだから。」
その時の彼はどこか悲しげな表情を浮かべていた。だけど彼の口角は上がっていた。
そしてあの一撃を受け止められたということは、俺に残された決定打はない。ということは、俺に勝ち目はないと同義だった。
「くそったれ。」
彼と俺との圧倒的な差に、毒を吐く。そして、彼はそのナイフで俺の攻撃をいなして俺を切りつけ、俺にかなりのダメージを与えた。
「まだまだぁ!!」
そういうが、俺の足は動かなかった。ああ。そうか。俺は疲れたんだな。こいつとの戦闘で思っていたよりも疲弊していたようだ。
次第に意識が薄れていく。だけど、周りには誰一人としていいない。だからこそ、なんとか意識を保とうと踏ん張る。だが俺のその努力は無意味で、俺の意識は闇に落ちていくのだった。
だけどその時、誰かの背後から手が置かれたような感覚がした。
私は倒れそうになる彼の背中を支え、彼を横たわらせた。
そして、その少年に敵意を向け、威嚇する。
「おお、怖いねぇ。最近の爺さんはどうやら血気盛んなようだ。」
そういう少年の心の奥底には、どこか高揚しているようにも見えた。
「御託はいい。さっさとやろうか。私は、血気盛んなんでね。」
その瞬間、少年は弾丸のようなスピードで私に突っ込んでくる。だが、私は水魔法でその威力を封印し、雷魔法で少年にダメージを与える。
「ぎぎっ!!」
だが少年も負けじと魔法を発動し、斬撃を放つ。だが、それを私は風魔法で回避し、風魔法と炎魔法をかけ合わせた攻撃で、少年に大ダメージを与える。
「そういえば。」
その高度な魔法結界を眺めながら考え事をしていた俺は、校長に尋ねてみることにした。
「その村長って人は、どんな魔法をお使いで?」
「彼が使う魔法は、基本魔法だけじゃ。」
「基本魔法だけ?」
その驚愕の言葉に、耳を疑ってしまう。基本魔法、それは炎、水、雷、風の四つの魔法のことを指す。さらに誰でも習得できるとのことで、基本魔法と名付けられている。
「そうじゃ、じゃがあやつを侮ってはいかん。あやつは、基本魔法といえどその精度と威力は、誰にも負けないんじゃよ。風魔法以外はな。」
すいません。手違いで四十六話。四十五話を投稿してしまいました。誠に申し訳ございませんでした。




