第三十三話 緊急の用
あれから数週間が経過し、体調が戻った僕は再び学園に来ていた。すると遠くからすごい勢いで走ってくるユイガを見つけた。
「よぉ。元気してたか?」
「まあね。」
とはいっても、あまりやることがなくて暇でしかなかったんだけどね。
「ここにいたのか。」
背後からそう聞こえたので振り向くと、先生がいた。
「元気そうで何よりだ。」
そういって先生は少し嬉しそうにしながら笑った。その笑顔に、なぜか僕も少し笑ってしまった。すると先生は少し真面目な顔になる。
「放課後、お前たちは下校せずに校長室に来てほしい。できるか?」
「はい。わかりました。」
そう僕が了承すると先生はじゃあな。とだけ言って、その場を後にした。
にしても、放課後校長室に来いって。いったいどういう要件なのだろうか。そう僕は疑問に思いながら、ユイガと二人で教室へと向かうのだった。
教室に入ると、カナが嬉しそうにこちらに駆け寄ってきた。
「もう治ったんだね!よかったぁ。」
そんな屈託のない笑顔を浮かべられると、少し照れてしまいそうな自分がいた。だが、そんな僕を払いのけ、カナの質問に答える。
「うん。もうばっちりだ。」
するとカナはその笑顔を崩さずに、この頃の授業や最近起こったこと、楽しかったことなどを楽しそうにしゃべりだした。
僕がカナの話を聞いていると、授業が始まるチャイムが鳴り、僕らは自分の席へと向かうのだった。
授業が終わり、放課後になった。本来であるならばこのまま寮へと向かうのだが今回はそういうわけにはいかない。それ故、僕はユイガとともに校長室へと向かう。
その道中、僕たちはなぜ呼ばれたのか考察していた。
「やっぱり、第二次試験についてのことだと思う。」
「じゃあ、なんで僕たちが呼ばれたんだ?」
ユイガは必死に考え、やがてその答えを口にした。
「わからん!!」
「はぁ!?」
そう僕は肩を落とした。
そんなこんなで、僕たちは校長室の前まで来ていた。久しぶりだ。前回来たのは面接試験以来だろうか。月日の流れの速さを感じる。
そう僕が感性に浸っていると、ユイガは隣からあきれたように言う。
「おまえ、なにしてんだ?」
「なにって、ちょっと感性に浸ってただけだよ。」
「なかなかお気楽じゃないか。俺は心臓がバクバク言ってるってのに。」
そうして僕たちはその扉を開けた。
僕たちが校長室に入ると、そこには先生、オルト、レイナ。そして、校長がいた。校長は来たか。といって、僕たちのほうに向きなおる。
「全員そろったようじゃな。それでは、第三次試験について説明する。」
第三次試験。はたから見れば生徒全員に行ってもよいようにも見える。だが、それを公言していないってことは、次の第三次試験に何か仕掛けるってことだ。
いったい、何を話すのやら。
僕は、唾を飲み込みながら、その話の内容を聞くのだった。
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