第三十話 ストーム
そうして僕は目を開ける。そこは、なつかしきあの村だった。だけど、今までの村の雰囲気とは打って変わっていて、村全体が薄暗いように感じた。それでも僕はその足を動かす。
やがて僕は、なんども人とすれ違い、その違和感に気づき、その足を止めた。さっき感じ取った違和感。それは、村人同士で楽しそうに話しているのに、誰一人として僕に目線を向けないことだった。僕は手を顎にやりながら、思考する。その違和感について。だけど、どれだけ思考しようとも、その答えが出ることはなかった。
「どうしたもんかな。」
そう、ため息をついたその瞬間。風圧がやや強いことに気づいた。
「なんだ?」
そう思って、振り向いたその矢先、巨大な竜巻が発生していることに気づいた。やがてその竜巻は僕に近づいてきて。
「!!」
そうして、僕はその竜巻に飲み込まれた。
俺は、そいつと攻守一帯の攻防を繰り広げていた。だけど、それはあくまではたから見た様子なだけで、実際は俺がわずかに押されていた。俺は軽減魔法を解除し、炎魔法で攻撃する。だが、そいつは炎魔法を水魔法で無力化した。
「マジか...!」
そう動揺を見せてしまった次の瞬間、そいつは俺の間近まで迫ってきており、軽減魔法を発動することなく、地面にたたきつけられた。
「さて、お前はもう起き上がれないし、あいつは気絶しているし。あとは俺に課された業務をやり抜くまでだな。」
そういって、そいつは立ち去ろうとした。だが。
「どこに、いくんだ?君の相手は、僕だろ?」
驚愕を隠せないまま、俺は声がした方向に目線をやる。するとそこにはぼろぼろになりながらも立ち上がっている、彼の姿があった。
僕は何とか意識を保ちつつ、立ち上がった。正直勝算はない。だけど、一度勝ったことのある相手にだけは、負けたくはなかった。
「どこに、いくんだ?君の相手は、僕だろ?」
そう挑発の意味を込めて、ザードリに呼びかけた。すると彼はもちろんこちらのほうに振り向いて。
「お前も、しつこいな。お前は敗者。俺は勝者。それいいだろ。さらにいってしまえば、その状態で勝ち目があるとでもいうつもりか?」
「いや、ないね。」
「じゃあ、意味はないじゃないか。俺は今回、殺生はするなと言われているんだ。だから、今のうちだぞ?ここでおとなしく倒れていろ。」
「だけど、それは一人の時の話だ。いまは、オルトがいる。」
するとそいつは鼻で笑いとばして。
「そんなことを言っても、お前の言うオルトってやつはこの通り。」
そういって、背後を見るが、そこにオルトの姿はなかった。
「まずい!!」
そう彼が言った瞬間、オルトは彼の背後をとり、打撃を放つ。
「さあ、これで証明したぜ。今、二対一の状況だってな。とはいっても。」
オルトは僕の耳もとでささやく。
「さっきの言った感じだと、勝算はあるように聞こえたが、本当に勝算はあるのか?」
「ああ。あるよ。だけど、少し時間を稼いでくれないか?」
「あいよ!!」
そうしてオルトはザードリのところへと突進していった。
「さて、と。やるか。」
そうして僕は、魔力をためるのだった。その大技のために。
俺は奴に接近し、その拳で腹を殴る。だけど奴はその拳をすんでのところで受け止めていた。
「そんなもんかぁ??Aクラスってのはよぉ!」
そのまま、俺の腕を振り回し俺を吹き飛ばす。そのまま奴は俺に攻撃を仕掛ける。そうして、俺の顔面に、そのナイフが当たる。
「ほぉら。もっともっと攻撃してみろぉ!!」
さらに奴の攻撃頻度が増す。奴のナイフを回避する間、俺は思考する。なんだ?こいつの魔法。近距離でしか発動できないような魔法か?それとも、魔法を使っていない?いや、それはないな。だとしたら、なんだ?
「やべっ!!」
そうして、飛んできたナイフを俺は回避する。だが、俺の頬に何かが切れたような痛みが走る。
「え?」
その傷に指を当てると、その指には赤い液体がついていた。血?だとしてもなんでだ?さっきよけたはずなのに。そう行くつか疑問を浮かべ。その真相に気が付いた。
「そうか。お前の魔法が分かったぞ。」
そうして、俺は奴の魔法を当てる。
「お前、斬撃を生成しているな?」
すると奴は高揚しているのか、大声で笑った。
「ああ!そうだよ。よくわかったなぁ。わからないと思ったのに。流石はAクラス。だけど残念。もう君は現世とはおさらばだ。」
「何言ってんだ?さっきも言っただろ?二対一だって。」
そうして、その技を発動するための魔力がたまった。
「ありがとう。これで発動できる。下がっていてくれ。」
「あいよ。」
そうしてオルトはその場から離れ、僕の隣に来た。
「じゃあ、いくぜ。」
そうして発動する。その大技を。
「ストーム。」
次の瞬間、僕が夢で見た竜巻を再現したかのような竜巻が生成され、ザードリを巻き込んだ。
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