第二十七話 空間魔法
意味が分からなかった。さっきまで動いていた体は、鉛のように重くなっていた。こんな異常事態、原因はあいつしかいないだろう。だが、どうすればいい?そう思考するが、この魔法を対処する方法は思いつかなかった。そのまま、彼女は殴打を続け、確実に俺へとダメージを蓄積させる。
「くそったれ!!」
そう叫び、反撃しようとするが、もちろんその攻撃は回避される。そうして、俺のこめかみに、その手は置かれた。
「じゃあね。」
そう彼女は一言おいて。その魔法を放つのだった。
その魔法が、俺に届くことはなかった。恐る恐るその目をあける。すると彼女と距離は離れていて、そこには彼女の姿と、右腕を水平にひろげ、こちらを守るような姿勢をとる、先生がいた。
「先生...?」
そう聞くと、先生はこちらを向いて、微笑を浮かべた。
「悪い、遅れた。だが。」
先生は心の底から感謝するような顔をみせ。
「ここまで耐えてくれて、ありがとう。あとは、先生に任せてくれ。」
と。
すこし息を荒げながら、俺はその少女と対峙していた。その少女は特に感情が揺らいでいる部分は見当たらず、無表情でこちらを見ていた。そんな少女に、俺はどこからかナイフを取り出し、突きつける。
「さあ、かかってこい。俺が相手だ。」
すると、彼女は弾丸のようなスピードでこちらに接近する。俺もナイフで応戦しようとするのだが、体が重くなっていることに気づいた。それでも、俺のところに、彼女が到達することはなかった。俺は彼女の背後をとり、耳打ちするように告げる。
「これは、あまり使いたくあなかったんだがな。まあ、そんなことはこの際どうでもいい。一つ、聞かせてもらおう。お前は、誰に命令された?」
その質問に彼女は答えることはなく、沈黙を貫いていた。
「そうか。そっちがその気なら、俺にだって考えがある。」
校長には止められているが、状況も状況。生徒を助けるためにやってしまったといいわけでもしておくとしよう。そうして俺は、魔法を発動する。次の瞬間、俺と彼女の距離はゼロになっていた。そして、そのナイフを振り下ろす。
「!!」
彼女はすんでのところで回避し、俺に何らかの魔法を施した。すると、さっきよりも体は重くなった。俺は自分の体を少し動かし、様子をみたところで、俺は彼女の魔法を理解した。そうして、俺は彼女の魔法を当てる。
「お前、重力を操っているな?」
だが、彼女の返答はなかった。その代わりに、初めて彼女は動揺を見せた。
「図星か。」
なら対処は簡単。そうして次の瞬間、さっきも使った『空間魔法』を使うのだった。
俺は、その光景を見守るしかできなかった。戦況は一目瞭然。先生が彼女を圧倒していた。それと同時に、自分の力のなさを嘆く。俺は思いっきり固めた右こぶしを、地面にたたきつける。
「どうして、俺は弱いんだ。」
そんな言葉もむなしく、戦闘は続く。
そして、決着がついた。決め手は、先生が彼女の背後に瞬間移動し、そのナイフの柄で首もちうぃついたことだった。
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