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日常2

「とはいえ、さすがに何も見ずにやるのは流石に危険なのでとりあえずは見学な?」


 「まぁ、そうだと思ってたわ。」


どう考えても実際の戦場を見ていないミレイはそのまま出すのは危険だ。殺しを知らないミレイはその場でためらってしまう可能性もある。そしてその、ためらった一瞬の隙は戦場では命取りだ。これをなくすには実際の戦場を見て感じて慣れるしかないのである。ミレイの望みはわかってはいるがこれは譲れない。ミレイもそれをわかるくらいには聡明なのですんなり受け入れてくれた。・・・・・・まぁ「殺し」は別の方法で慣れてもらうがな。「戦場の雰囲気」と「殺し」は別問題だしな。


 「出発は明日の早朝に出て依頼元のレギオンに立ち寄ってから現地に向かう。お前は確か他人がいるところに行くのは初めてだったよな?」


 「そうね、初めてよ。私としては楽しみ、というよりちょっと怖いわね。もちろん楽しみではあるのだけれど、生まれてこのかたおじさんとジンとしか喋ったことないし。ていうか、他人に会わせようとしなかったのはジンでしょ??何度聞いても理由は答えてくれなかったし。いつか教えると言ってるくせにそのいつかはいったいいつになったらくるのかしら?大体ね、ジンは・・・・・・」


 どうやらこれまでの不満が爆発したらしく畳み掛けるように言ってきた。もはや決壊したダムのごとくお小言が止まらない。よくこの手の話は耳が痛いというが、あれは比喩的なもののはずなのに俺の耳には物理的な痛みが伴ってきた。俺の耳が破裂してしまう前に止めなければ・・・・・・!


 「あーそのなんだ。すまん。悪かった。いろいr」


 「悪かったと思うなら言わない理由を言ってちょうだい?」


 「・・・・・・・」


 ウ~ン何を言ってもダメそうなのでこの件に触れるのはやめておこう。そ、そうだ話題を変えようそうしよう!


 「そ、そうだ!なにか装備について不満はないか!?今なら何でも聞くぞ!?」


 「ないわね。」


 即答された。


 ・・・・・・・


 「そ、そうだ!なにか生活について不満はないか!?今なら何でも聞くぞ!?」


 「・・・・・・・ないわね。」


 少し考えてそう答えられた。だがそんなこと気にするよりも今は話題を変えることが先決だ!


 「そ、そうだ!なにk」


 「はぁ、もういいわよ。どうせ何言っても教えてくれないんでしょ?もうこの件についてはもういいからさとりあえず拠点に戻ってさっさと詳細を教えてちょうだい。」


 ミレイ神は罪を許してくれたようだ。


「ありがとうございます・・・・・・。」


 とりあえず、帰ろう。


────────────────────────────────────────────────


拠点に戻るなりミレイは「シャワー浴びてくる。その間にブランチの用意でもしていてちょうだい。」と言ってさっさといなくなってしまった。まぁ会わせようとしない理由を伏せているのはミレイのためでもあるがそれ以上に俺のエゴの割合が多い。だから本当は今日はミレイが食事当番だが、このくらいのことは甘んじて受け入れよう。


────────────────────────────────────────────────


 ミレイがシャワーを浴び終わり出てきて朝食を食べた後、一息ついてから居住スペースから開発トラックに移動して話すことにした。


 「さて今回はライラックレギオンからの要請だ。一番近くにあるレギオンだな。俺が一番お世話になっているところでもある。まぁ俺と仲の良い連中だらけだし、いいやつばっかだから他人という存在に慣れていなくても大丈夫だぞ?基本、可愛がってもらえるはずだ。」


 「わかった」


 基本、自我が強いミレイのことだからあまり心配はしてないが一応そうやって言っておく。これまで一度もじいさんと俺、以外とはしゃべったことがないからな。


 

 「Summon white board」


 開発トラックの壁にホワイトボードを呼び出して俺は話し始めた。


 「で、敵の規模としては12人程度の規模だな。事前調査によると敵の装備は大戦末期の実弾兵器が全員分、光学兵器が3つ、魔術師はなし、戦争中期頃の警戒機が一基に戦争末期の多少性能高めな携帯型結界が一つ。森の奥で暮らしているらしく対侵入者用の物理トラップ山程。まぁ厄介なのは光学兵器が3つもあることだ。この兵器には弾速なんて概念はないからトリガーを引いた瞬間に即着弾だ。まぁでもバイザーつけてりゃ見えるし照準されているラインが見えるから問題ないだろう。ミレイについては隠れてもらうから言うまでもないしな。」



 そう!俺が開発したバイザーは超高性能なのである。事前に敵情報を登録しておけば銃口を自動検知して向けられているラインを表示してくれるのだ!ついでに言えばECの残りエネルギー数とか残弾数とかその他リソース、空気成分、緯度経度、風速、魔力の可視化などなど技術てんこ盛りだ。ただし開発に5年くらいかかったけど・・・・・・。ちなみに現在も改良は加えられ続けている。


 この言葉にミレイは真剣な顔でコクコクと頷く。


「で、配置は事前調査によると東西南北に見回りが24時間交代制で張り付いているらしい。とはいえ一箇所あたりに一人だけらしいからこれについては問題ないね。内部に三人が常にいて残り5人が何処かに行ったり交代要員になっていたりという感じらしい。この情報の信憑性はライラックの有能スタッフが調べたものだから高めだが臨機応変に対応するためにも完全にあてにせず、ある程度自分達で調べてから行こう。」


 ミレイはコクコクと頷いた。


 「さて、なにか疑問はある?」


 「単独で討伐するの?」


 「ん?そうだぞ。いつも単独でやってるしな。」


 そう。こういうときは通常部隊を組んで討伐するものだ。まして光学兵器が3機もあることなのがまずい。この光学兵器というのは先の大戦で生み出されたものでトリガーを引いた瞬間に文字どおり光速で目標に着弾するというもの。威力は折り紙付きでかすっただけで皮膚が溶けるレベル。単純に強力ではあるがちゃんと欠点もある。どうしても装置が大型化して持ち運びづらいし充電にも時間がかかることがあげられる。もっといえば先の対戦は随分前の話なのでメンテナンスもほぼできない状況だから耐久性はないし電力にも限りがあるからまさに虎の子という感じだ。まぁでも俺の実力なら関係なし。どれだけ俺が光学兵器持ちのドローンと戦って生き残ってきたかってんだ。


 ちなみに単独討伐の理由としては物資の独り占めがしたいという理由だ。俺たちはレギオンのように一つの場所にとどまって生活していないためあまり物資を溜め込むということができない。ほぼその場その場で生活しているからこういうことも必要になるのだ。


 客観的に見るとただの略奪のようにも思える。だが、この世は無法地帯で弱肉強食。レギオンにも依頼されているからどちらに正義なんてものは存在しない。たとえ相手が善人であったとしてもだ。


 こんなことをかいつまんでミレイに説明すると


 「うーん、それならまぁいいか。」


 と納得したのだった。



 あ、言い忘れてた。


「光学兵器を躱すことぐらいできるやろ?なんで殺すのは俺がやるけど一緒についてきてもらうから、そこんとこヨロシク。慣れて貰うよ?」


「ゑ?(・д・。)」


「いやだから、戦場真っ只中についてきてもらうよっていったのよ。」


「・・・・・・?」


「そんなはてな(・・・)みたいな顔をされましても・・・・・・。」


「聞いてないわよ?ていうか外側から見させてくれるわけじゃないの?」


「何言ってんだ?それなら俺のバイザーとリンクさせて映像見せるだけでええやん。これまでも何回かやってるし。」


「いや、そうじゃなくて近くまで来てステルス機能みたいなものを使って見せてくれるんじゃないの?」


「いいや?俺の後ろについてきてもらうよ?」




・・・・・・




 「ゑ?」

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