この世界について
説明回です
荒野をバイクで駆け抜ける。
気温17度、天候は快晴。バイクで走っていると少々肌寒い気温だがジャンバーを着れば問題のないくらいの春の季節だ。今日はレギオンに頼まれた旧市街地のドローンの排除の仕事だ。ちなみにレギオンというのは第四次世界大戦後、生き残った人々で構成される集団のことである。
少し、この世界について話しておこう。
この世界は現在3つの勢力で構成されている。
1つ目はドローンだ。
まずドローンがなぜ存在するのかを話しておこう。
今からおよそ三十年前、クリセイス共和国とアレス=キオラス連邦の第四次世界大戦が勃発した。きっかけは何が始まりだったのかは今ではわからない。そうなってしまった理由も今ではわからない。推察するに何らかの記憶干渉があったんだろうが今となっては謎のままだ。第四次世界大戦はドローンによる物量戦となった。戦争中期になり負けが濃くなり始めた連邦側はついには人命と核融合兵器を投入。それに対抗するべく共和国も人命と核兵器を投入。最終的には連邦が買ったがどちらも甚大な被害が発生。連邦の首都ですら焼け野原となりハイパーインフレーションが発生。その結果連邦は国民の不満が爆発。さらに、この戦争終盤に両国のドローンの管制室に核兵器が打ち込まれ、統制を失ったドローンはただの殺戮兵器と化した。この2つが原因で連邦も滅んでしまったのである。そのため今でもドローンが残っているのだ。ただ普通に考えれば安全装置がついているものだ。万一の自体に備え管制室からの通信がなくなったりなどすると自律制御に切り替えて撤退するなりするものなのだが当時はそうはならなかったらしい。長々とは説明したが現在ドローンが残っている理由はこんなところだ。次は種類についてだな。
ドローンにはかなりの種類が存在する。
戦車型
斥候型
近接型
狙撃型
電波阻害型
司令官型
補給型
隠密型
電波探知型
等々・・・・・・
まあ挙げるときりがないので現在よく見られるドローンの主力にとどめておこう。
ドローンは基本集団で動く。まず司令官型と電波阻害型と電波探知型が前線から一番離れた場所に存在する。電波阻害型が敵からの探知を妨害し、電波探知型が敵の大まかな位置を予測した上で司令官型が作戦を立てる。その後作られた作戦を戦車型などの子機に伝え侵略する。これはドローンが戦闘するときの常套手段だ。なのでドローンを討伐するのは中核となる司令官型から潰すのが一番いいのだがこいつらはそうもいかない。
司令官型は基本的にアリ程度のサイズで非常に小さく見つけるのが困難なのだ。さらに司令官型を倒せたとしても司令される子機が疑似司令官型となって作戦を続行するしそのうち別の司令官型がやってくるので、あまり潰しても意味がないのだ。ただし潰すことでドローンの動きは単純化するので倒しやすくなる。なので殺せたらラッキーくらいなイメージだ。
けれど今となってはこんな大掛かりな戦闘はほぼ皆無に等しい。そもそもの母体数がバイカーなどの努力によって減少しており、先の大戦でかなりの数が滅ぼされたからだ。なので司令官型によって制御された子機はほぼ存在しないのである。
が、しかし未だに残存している司令官型に命令されていないドローンは存在している。これが悩みのタネになっているので駆除するのが今日の俺の仕事だ。
2つはさっき言ったレギオン。
レギオンにも色々なタイプが存在する。略奪行為によって生計を立てるレギオン、至極真っ当に農業をしたり狩りをするなどして生計を立てるレギオン、などがいる。明確な定義はないがだいたい15人を超えればレギオンの認識になるだろう。
3つ目、バイカー。
これは俺たちが所属しているものだ。基本的にバイカーは何にも縛られず自由に過ごしている。あるものは盗賊まがいの行為をしたり、あるものは傭兵家業をしたり等々何でもありの勢力だ。勢力とはいってもバイカーは少数、またはソロで活動し、群れを作らず大体は傭兵家業をしている。レギオンから頼まれることをこなす代わりに食料、水等その他雑品を譲ってもらっている。主な任務として移動の邪魔になるドローンの排除だったり盗賊バイカー、略奪レギオンの排除、物品の配達や、はては狩猟の依頼まで何でもやるのが傭兵家業だ。
しばらく運転し続けること3時間。旧市街地が見えてきたので一度バイクのエンジンを切る。何をするにもまずは敵情視察なので少し調査してみることにした。
「Boot Elememt Changer」
続けて唱える。
「Cause Radar By wind Element」
何らかの動く物体を手で探るようにイメージする。
「お、いたいた。前方2Km先に近接型が三体と戦車型が一体、その1Km手前に斥候型が二体で・・・・・・ん?これはたぶん電波探知型と狙撃型かな?」
この世界には魔法が存在する。魔法は基本的に脳内で現象をイメージするだけで実現させることができる。
第四次世界大戦が終結した瞬間に魔法が使える人が発生した。発生したといっても割合的には400人に一人の割合なのでそこまで多くはない。また、発生した理由はわからない上に使える原理もわからない。そんな危険な状態であっても便利なものは使うのが人間の性というものでレギオンができ始める頃には戦闘から日常のための道具作りまでする主要戦力となっていた。と、まぁここまでが存在する理由だな。
次に属性について説明しよう。
この世界には4つの属性が存在する。属性は一人に一つだ。
fire
火を自由自在に操れる。他の属性に比べて汎用性は低いが高い戦闘性能が魅力。あらゆるものを高温で焼き尽くす。
wind
大気に関するものすべてを自由自在に操れる。待機中の成分をいじれたり風圧によって空を飛んだり空気を振動させて音を出すこともできる。
earth
大地に含まれるあらゆるものを操れる。鉱物だろうが砂利だろうがなんだって生み出せる。また、道具作りのときに鉱物の生成から形成までをすることができる。
water
水に関することすべてを操れる。飲料水を出したり水を固めてカッターにしたり水圧で空を飛んだりと汎用性が高い。
この四種の中でも特にレギオンに重宝されるのがearthとwaterだ。earthは前述のとうりどんな道具でも生み出せてさらには家まで作れる。どう考えても重宝される。waterは飲料水を生み出せるのが一番の利点だ。荒廃し、砂漠化した大地の多いこの世界では水が湧き出る場所などほぼ存在しない上に地中深くまで掘れる技術も失われてしまったので飲料水というのは非常に貴重なのである。重要度で言えばwaterが上だな。ただ、そもそもの魔法が使える人の母体数が少ない上にその中から二属性となると本当に数が少なくなる。よってこの二属性のどちらか一方を所持するレギオンは盗賊などに狙われやすくなるのだ。そのためレギオンでは魔法が使える人(以降、魔術師と略称で呼ぶ)がいる場合、その存在は秘匿されるのである。
ただ何事にも代償のない奇跡というのは存在しない。魔術師は例外なく必ず30歳までに死んでしまうのだ。現段階では魔法のリソースは術者本人の生命力から来ているものとされている。だが、実際のところはわかっていないのが実情である。
また、何事にも例外というのは存在する。それが俺だ。俺は魔法を使えるが四属性ではない。実際の正式名称はわからないが俺はこの属性をhollowとよんでいる。この属性はなぜかはわからないが他属性の魔力に触れることでその属性を操ることができるような属性だ。なので実質的に四属性使いとも言えるがデメリットも存在する。基本四属性を使う者はイメージするだけで具現化できるが俺の場合はそうではなくいくつかの器具を媒介してから具現化しなければならないのだ。
まず一つ目ElementChanger(略称:EC)これは俺の魔法すべてに必要なものだ。この装置の中には四属性すべての魔力が含まれており俺の魔力を指定した属性に変換させる装置だ。
二つ目embodimentdevice(略称:EE←EDなんて言ってはいけないぞ)これも俺の魔法全てに必要なものだ。ECに魔力を通すと自身のイメージは伝わらなくなってしまうのでこの装置を使用する。設定された語句を組み合わせ、命令することで具現化できる装置だ。他にも色々あるが基本この2つの装置を使って戦うのが俺の基本スタイルだ。
長々とは説明したがこの世界と俺の紹介はこんなところだ。
あ、俺のプロフィールだけ説明してなかったな。俺の名前は「ジン」、24歳だ。妹が一人いるしがない傭兵バイカーだ。