いつか見たあの日の光景
それはある日の夜、いつものようにお祖父様に自分が作った作品を見せていたときだった。
「お祖父様!お祖父様!見て見て!また僕が作ったんだよ!」
「そうなのかい?それはすごいよ。─────はいつもすごいね。」
とこれもいつものように褒めてくれた。
僕は自分が作った作品をいつもいない父様と母様の代わりにお祖父様に見てもらうのが本当に大好きで毎晩毎晩見せに行っていた。
それは眩しい光景で眩ゆい光景だった。
このままの光景を時間を止めて残しておきたいくらいには輝かしかった。
今、この瞬間までは。
そうして楽しく話しているとお祖父様はふと窓の外を見て真剣な顔になった。
「そろそろだな」
「?」
なんのことかわからなかった。
僕が首をかしげてじっと見つめていると話しかけられた。
「いいか?────よ、よく聞け。お前は何も気にする必要はない。地上の世界は辛く厳しいかもしれないし、なにか恐ろしいものに追われるかもしれないがお前なら生きていけるはずだ。だがそのぶんなにかに縛られることもない。だからお前はなにも気にする必要はない。復讐なぞどうか考えないでほしい。それから伝えてはいなかったがお前には妹がいる。その子と健やかに暮らしていてくれ。いつか来るその日まで。────には大きな負担と責任を背負わせることになってしまい本当に申し訳ない。」
「・・・・・・」
口をぽかんと開けることしかできなかった。いつも穏やかな顔をしていたお祖父様が急に真剣な顔になってよくわからない話をし始めたからだ。だが、何かしらの返事を返そうとしたその次の瞬間、
爆破音がした。
「きたか」
「なに!?え?」
衝撃波で窓ガラスが割れて飛び散りガラスの破片が腕を掠め切り傷ができた。
「っ痛!」
パニックになりながら痛みを抑えるようにうずくまってると自分を落ち着かせるようにゆっくり僕の手を解いて自身が身につけていた腕輪を外し、僕の腕につけた。するとあっという間に切り傷が癒えた。
その後、お祖父様は
「この老いぼれの頼みだ。今は理解できなくてもいい。だが、私のさっきの言葉を常に心に留めておいてくれるか?」
と真剣に伝えてきた。
その時のお祖父様の顔は悟ったようでそれでいて真剣な顔だった。
「・・・・・・」(こくこく)
こんな顔は見たことがない上に気迫がすごかったので声に出すことはできなかったので、わけもわからず
うなずいた。
「いい子だ。」
といって頭を撫でたあと立ち上がり側近に近づいてなにか話し始めた。
「状況は?」
「・・・・・・現在周囲300メートル全て包囲され敵ドローンの数はおよそ2400機、状況は絶望的です。
なんとか今は現状維持で交戦していますがあと数分もすれば瓦解するかと。」
「十分だ。なーにたかだかドローンだ。こんな老いぼれでも負けるわけがなかろう?」
「行く気ですね。」
何を言っているのかはわからなかったがその時のお祖父様の背中はとてつもなく大きく見えてどこかに行ってしまうような予感がした。僕は当然一番大好きなお祖父様と離れたくなかったが近づいてしまうといなくなってしまうような予感もしたから一瞬ためらった。けれど、溢れ出る思いを制御できるはずもなく近づいてだきしめた。
必死に引き止めるように思いっきり抱きしめた。するとお祖父様は安心させるように撫でながらゆっくり僕の手をほどいて逆に抱きしめてくれた。
「何も心配する必要はないさ。私はいつも────の側で見守っているからな?それから男ならめそめそ泣くんじゃないよ。もっとシャキッとして堂々と生きるんだ。いいかい?」
────はまるでいなくなってしまうようない言い方をするお祖父様の言葉に納得できなかった。だがここで返事をしないと後悔するのも同時に理解した。自身の心情と現実の狭間に苛まれて口をパクパクさせていると苦笑しながらさらに強く抱きしめられた。
「何も言わなくてもいいさ。今の────の気持ちはよく伝わったよ。こんな老いぼれを大切にしてくれてありがとう。」
そう言われてもなお口をぱくぱくさせているとお祖父様は側近に招集をかけた。
「Summon! アルバート!」
「はっ!ここに。」
どこからともなく召喚され、現れたアルバートに命令をかける。
「お前に最後の任務を命ずる!その命を違えたとしても────と───に生涯仕え、その命を守り抜け!」
「御衣に、閣下。」
そう言った後、一瞬で消えたと認識する前に僕の意識は途絶えた。
「達者でな、────。さて、やるか。」
処女作です。文章がだいたい拙いものですががんばりますのでよろしくおねがいします。
ちなみに不定期投稿でただの自己満足作品でもあるので作者の欲望満載です。