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第8章 アイドル・ダンジョン 邁進中  作者: みーたんと忍者タナカーズ
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「この島って私有地かな?」

 あかりんが聴いた。

「喪服チャンはそんなにお金持ちじゃないでしょ」

 りんちゃんの反応は正しい。

 普通に考えると喪服チャンがそんなに金を持ってるとは思えない。

 ただ実はとんでもないお嬢様だったりするのかなあーとあかりんが探りを入れたのだ。

「スイカ割りをしたビーチってプライベートビーチなのかな?」

「じゃないでしょ。お茶の間博士もいたし」

「だよね。私たち、そんなに稼いでないもんね」

 やっぱ、喪服チャンはお嬢様じゃないようだ。

 まあ、あの雰囲気からお嬢様らしさは微塵も感じない。

 どちらかというと魔女に近い。

 あれで美魔女ならいいんだけど、どう見ても大阪のおばちゃんみたいな雰囲気である。

 と言うことは今度のご褒美は相当覚悟をきめてメンバーに還元したのだろう。

うん?お茶の間博士?

 リンちゃんの記憶にはすでにお茶の間博士が登場している。

 お茶の間博士っていつ出会ったんだろう。

 記憶がごちゃごちゃになっている。

 確かイケメンさんの知り合い?

 そう言えばイケメンさんとしばらく会ってない。

 なんか寂しい。

 タイムリープしてるから時間的にはそれほどたってないのだろう。

 とは言え体感的には何日も会ってない気がする。

 ずっとお茶の間博士としか会ってない。

 どうせならイケメンさんと過ごしたかった。

 時間旅行が二人の新婚旅行です。

「パパパパーン」とあかりんは結婚行進曲を口ずさむ。

 ああ、イケメンさんになら武道館で愛を囁いてもいいのになあー。

 どうしてよりにもよってお茶の間博士。

 しかも催眠術で告白させようなんて、姑息だわ。

 まったくなんて豚野郎。

 でも催眠術の方法は分かってる。

 緑のサイリュームを見続けてると催眠にかかるのだ。


 必死に緑のサイリュームを振る女の子たち。

 そこはレッスン場。

 アイドルグループ、オチャノーマ・サマーのダンスレッスン。

 その様子を満足げな顔で見ている男。

 お茶の間博士である。

「絶対!武道館に行くぞ!」

 お茶の間博士が叫ぶ。

 するといたいけな少女たちが、

「めざせ!武道館!チャチャチャ!」と湯飲みを振り上げる。

「ガールズヒップホップ系アイドルの頂点をめざすわよ」

 そう、マドカが叫んだ。


 辺りが暗くなると、「さようなら」と少女たちは帰路に。

 たった一人スタジオに残ったお茶の間博士。

 その顔は満足げである。

 ソファーに深く沈み込んだまま、日本酒を飲む。

「余は満足じゃ」と日本酒を一気飲み。

 オチャノーマ・サマーのアイドルグッズをテーブルに並べてはニヤついている。

 そしてメンバーの写真のアクリルスタンドを手にとっては頬ずり。

「マドカとルリはこの位置。キララは端っこ」とフォーメーションを決めて遊んでいる。

「『恋のウンチングスタイル』は魔法少女みたいなブリブリのアイドル服がいいな」

 お茶の間博士はファッション画を描いている。

そこへ黒猫が現れる。

「なんだ、十兵衛!」

「幸せそうだね」

「ああ、幸せだよ」

「僕と契約を結んで良かっただろう?」

「ああ、最高に幸せだ」

 十兵衛が猫タワーを駆け上る。

「本当に願い事を叶えてくれるんだね」

「もちろんだよ。僕は君の願い事を叶えるためには手段を選ばない」

「最高の気分だよ。ありがとう十兵衛」

「それより僕は君の願い事を叶えて上げただろう」

「なんだ、その含みのある言い方は?」

「君はそのおかえしをしなきゃいけない」

「なんだ、それは?」

 お茶の間博士は十兵衛を睨み付ける。

「まさか命を差し出せとでも言うつもりなのか」

「君の命なんか興味は無いよ」

「そりゃあ良かった」

「君は自分を買いかぶりすぎだ」

「許してくれよ。今まで報われたことのない人生だったんだ」

「だろうね」

「今、僕は青春を取り戻している」

「ずっとモテたかったんだろう」

「そうさ、僕はずっと女の子にモテたいと思ってたんだ」

「さぞ辛い人生だったんだね」

「そうでもないさ」

 お茶の間博士は日本酒を一気飲み。

「ある時から僕の中に諦めという言葉が湧き出して……………………」

 お茶の間博士は言葉をつまらせて泣き出してしまった。


 レッスンの帰り道。

 十兵衛がサイキョウ・マドカの前に立ちはだかる。

「キャー!猫!」とマドカは飛び跳ねる。

「やあ、マドカ」

 十兵衛がマドカに話しかける。

「何、猫が喋ってる」

 マドカは後ずさり。

「そんなに驚くほどのことかい?」

「当たり前でしょ、化け猫」

「失礼な。サンリオみたいな僕に向かって」

 十兵衛は見るからにサンリオにいそうな顔立ちをしている。

 猫なのにキティよりシナモロールに似ている。

「猫が言葉を喋ってるんだよ。気持ち悪っ!」

「こんな可愛い僕をつかまえて失礼だね」

「可愛い?あなたが可愛い?キモいっつうの!」

 十兵衛はしっぽを振って愛想を振りまく。

「ねえ、僕と契約を結んで魔法少女になってよ!」

 十兵衛がマドカの足下に纏わり付く。

 そして十兵衛はマドカの体を駆け上がり、首元へ。

 そして右肩にちょこんと座る。

「これでも僕が気持ち悪い?」

 マドカは両手に十兵衛をだきかかえる。

 そして抱きしめる。

 十兵衛は無表情。

「マドカ!よけて!」と叫び声。

 銃を持ったルリ。

 ルリは銃をぶっ放す。

 十兵衛の顔がぶっ飛ぶ。

 そして腕が跳び、おなかに大きな穴が開いた。

「マドカ!そいつに耳を貸しちゃダメ!」

 血まみれの十兵衛。

 それを手に持っているマドカ。

「キャー!」と悲鳴をあげる。

 そしてボロボロの十兵衛を投げ飛ばす。

 宙に舞い上がる十兵衛に銃弾を撃ち込み続けるナツメ

 ボロボロの十兵衛。

「どうしちゃったの?ナツメ」

 マドカはルリとナツメを見つめる。

 ルリは息を荒げてる。

「魔法少女なんかになっちゃダメ!」

 ルリとナツメはアイドル風のヒラヒラの服を着て立っていた。

「魔法少女なんかになったらこんなブリブリの服を着せられるのよ!」

 ナツメが叫ぶ。


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