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第8章 アイドル・ダンジョン 邁進中  作者: みーたんと忍者タナカーズ
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「タランチュラが出るってここってどこ?」

リンちゃんが震えてる。

あかりんにはそこがどこか薄々気がついていた。

リンちゃんはあかりんがインストールされて賢くなったことを知らないのだ。

あかりんは全てを話すのは辞めようと思った。

あかりんだけが正解に辿り着いていて、あかりんの話を信じてくれない可能性は高い。

 下手なことを言うと中2病扱いされそう。

 それは避けたい。

「私たち、タイムリープしてると思うの」

 あかりんが言った。

「タイムリー?」

「惜しい、タイムリープ」

「タイムリーフ………」

 マトパカ・リンは大きな口を開けっぱなし。

 タイムリープもヤバいかあー。

 ライトノベルじゃ定番なんだけどな。

『あかりんの憂鬱』

中2病全開だよね。

でも現実なんだ、これが。

「それって鯛焼きか何か?」

「ズコッ!」とあかりんがずっこける。

「もおー!今のでタイムリープしたらどうする気」

『涼宮ハルヒの憂鬱』みたいに夏休み最後の日が繰り返したらどうするの?

 あかりんは辺りを見渡した。

 相変わらず同じ森。

 今タイムリープしてないよね、多分。

 風景が変わらないから分かんないよ。

「タイムリープってなんなの?」

「映画で言うと『君の名は。』的な。『時を駆ける少女』的な……………………」

「何、それ?」

 マトパカ・リンが首を傾げる。

 そうだった。

 リンちゃんはオタクでもなんでもないごくごく平凡な一般人。

 アキバのアの字も分からないオタクオンチ。

 アニメの話題も漫画の話題も全く通じない変わり者。

 アキバに迷い込んだごくごく平凡な女の子なのだ。

 虹コングらしくない普通の女の子。

 タイムリープを説明するなら、アニメが一番なのに。

リンちゃんには理解できないか。

「もちろん、『東京卍リベンジャーズ』って分からないよね」

「何それ?」

「漫画」

「漫画かあ~!」

「だよねえー」

 リンちゃんが漫画を読んでるとこ見たこと無いよね。

「東京卍リベンジャーズ」流行ってるんだけどなあー。

 タイムリープってうまく説明できない。

「そもそも東京ってどこ?」

 マトパカ・リンが言った。

「何言ってるの。東京は東京でしょ」

 リンちゃんまでおかしなこと言っている。

「武道館があるのも東京だし」

「あれは日本武道館だってば」

「どうしちゃったの、リンちゃん」

「どうもしないわ」

「ねえ、虹コングが活動していた秋葉原って分かるよね?」

「アキバじゃないでしょ。赤羽じゃない」

「赤羽は埼玉だよ」

「でもオタクの聖地って言ったら、赤羽でしょ」

「何言ってるの!赤羽は居酒屋が有名なおじさんが集う町じゃない」

「違うって、オタクシティ赤羽でしょ」

「ボケてるの?」

 いや、リンちゃんはモノボケもできないクソ真面目。

 こんなボケを思いつくはずがない。

いつもでも一生懸命、だけどポンコツ女子!

「東京だよ、東京。日本の首都東京だよ」

「だから日本の首都は埼玉だよ」

 待って、それって天然。

 おバカ?

 いやあ、さすがにないよ。

 だってアキバとアカバネの区別がつかないってあり得ない。

 元々虹コングはアキバで活動してたんだから。

 ヤバいってリンちゃんの中から東京が消えてる。

「さっきまで武道館でライブしてたでしょ」

「してないよ、あかりん」

「はっ!」

 タイムリープしてるから武道館ライブも無かったことになっている。

「もうすぐだね、埼玉武道館でのライブ」

 リンちゃんがそう言った。


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