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ルリは魔法のステッキをくるくる回し、
「おいしくなーれおいしくなーれ」と魔法をかける。
萌えがとまらない。
握手会かあー。
こっそり参加したら気がつくのかな?
お茶の間博士は人生で初めての握手会に参加した。
少しずつ近づいてくるルリ。
お茶の間博士の心臓はバクバクである。
握手をした。
これが女の子の手というやつだ。
ラッパーのイメージとは真逆で小さい。
じっとお茶の間博士を見ている。
「じゃあ!」と手をはなすルリ。
今のは気がついていたのか?
全然無反応だ。
いや、キャラ的にできなかったに違いない。
きっとそうだ。
毎日通ってる僕の顔に気がつかないはずがない。
ルリルリ。
今度魔法少女のコスチュームで握手をしたい。
名残惜しそうに出口に向かう。
出口の側にすごく長い行列ができていた。
行列の先を見るお茶の間博士。
「はっ!」とお茶の間博士は目を奪われる。
そこにはロココが立っていた。
「ぶほっ!可愛い」
B系ファッションなのにまるで天使ではないか。
「この子の魅力は独自のスパイスで一風変わった味わいを創り出すその魔法。イカす女だ。なんだろう、このイカシュウマイの漂う雰囲気」
お茶の間博士に彦摩呂がおりてきた。
「鮮やかで繊細なのに立ち振る舞いはユニークで斬新。個性的なスタイルなのに自分自身を表現し、自己主張しすぎることもなくパンクでロック。周りを華やかに演出する存在。一度味わったら病みつきになる究極のB系女子」
お茶の間博士は我を忘れてロココの行列に並んでいた。
「ありがとう。また来てね」
ロココが含み笑い。
「ハゲのオジさん!だーい好き」
ああ、可愛い。
同じグループに推しが2人。
僕はルリとロココ。
どっちを選べばいいんんだ。
女の子を天秤にかけるなんて、僕はなんて罪深い男なんだ。
ふと、お茶の間博士は瞳を奪われる。
御城スミレである。
スミレの花咲く頃♪
まさに可憐でビューティフル。
お嬢さま界の最上級。
プリンセス・オブ・プリンセス。
プリンプリンプリンセス。
「この子の根っからの品の良さはまさに奇跡。まるで宝石のように輝くエンターテインメントの極み。その美しさや華やかさは、まるで夜空に輝く星のように僕のハートを魅了する。宝石箱やあー。中から飛び出してきたのはお姫様」
お茶の間博士はスミレの行列にも並んでいた。
「まるで花々が咲き誇る春の庭園のように、美しさや気品にあふれ、人々を魅了し続けている。舞台上の君はまるで宝石を纏った女神。心を癒し、夢を与えてくれる魔法使い」
お茶の間博士はその美しさに思わず立ち尽くす。
あまりのまばゆさに躊躇うお茶の間博士の右手。
「よろしくてよ」と躊躇う手をスミレの方から握ってきた。
たまらん。
推したい!
「この手は洗わずにおこう」
握手会のあとのステージを見つめるお茶の間博士。
「ダンスや歌唱力も天上の天使たちが地上に舞い降りたかのようだ。美しく優雅であり、魂を揺さぶられるではないか。舞台はまさに芸術とエンターテインメントの融合。その圧倒的なパフォーマンスは、まるで人々を別世界に誘う魔法のようだ」
なんて魅力的なんだ、オチャノーマ・サマー。
この子たちをプロデュースしたい。
B系ファッションなんか脱ぎ捨てて萌え萌えマジックをかけてやりたい。
そうしたら、この子たちは完璧だ。
お見送り会で手を振るオチャノーマ・サマーのメンバーたち。
「よー、よー」と前のめりのオチャノーマ・サマー。
「また来てね」と喉をかっ切る真似をする御城スミレ。
お茶の間博士は3人に恋をしてしまった。
「同じグループに推しが3人。どうすればいいんだ」
夏休みと冬休みと春休みが同時に襲ってきた。
ハッピーの連続攻撃だ。
「そうか、プロデューサーになればいいんだ」
そうしたら全員と知り合いになれる。
しかしプロデューサーってどうしたらなれるんだろう。
アイドルマスターならファンはみんなプロデューサーなのに。
俺はアイドルにただ金を貢ぐだけの存在にしかなれないのか。
天馬君がいなくなった今も俺は日陰のままなのか。
ああ、もっと光りを。
お茶の間博士の目の前を黒猫が横切った。
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そのうち引っ越しします