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「でもさあー、今日はルリもナツメも来てないよね」
キララが髪の毛の枝毛をイジってる。
「本当だ」
「珍しいね、あの二人が遅れるって」
「もしかして、ドッキリじゃないですか?」と西崎。
「やだー!テレビ?私たち、売れっ子?」
急にキララの顔が輝き出す。
「売れっ子ですよ」
西崎がよいしょする。
「今なんて?」
キララが耳に手をあてる。
「だからオチャノーマ・サマーは売れっ子です」
「ヤバい!マジ、ドッキリ?」
キララは辺りを見渡す。
そしてカメラを探してる。
「カメラに映るんだ。メイクバッチリきまってるかなあー」
突然姫鏡をとりだして、つけまつげをカールしはじめる。
「パイセン、ヤバいっす。顔、めっちゃ、神ッす」
西崎がもちあげる。
「もれてる?」
「もれまくりッス」
「ギャルピィー!」とスマホで自撮りをするキララ。
「イケてるッす。サンキューッス」
39もスマホに映り込む。
「ミクミクもヤバいって!」
「サンキューッす」
「こっちがサンキューだよ」
「二人ともサンキューだもんねえー」
二人は肩を抱き寄せ、スマホにギャルピィー。
「二人揃って39セット」
突然、パラパラを踊り出す。
ふとした気配に後ろを振り返ると、ななみんが立っている。
「きゅるるん♡」とぶりっ子ポーズ。
「わあー、驚いた」と二人はぶっ飛んだ。
「後ろに立たないでよ」とキララ。
「ゴルゴッスね、パイセン」
「いえぇーい」とハイタッチをするキララと西崎。
「ねえねえ、キララ」
ななみんが小走りに近寄ってくる。
「ななみんと契約して魔法少女になってよ!」
「ムリですぅー」とキララはくちびるをとがらかす。
「ねえねえ、ミクミク」
西崎に微笑みかけるななみん。
「ななみんと契約して魔法少女になってよ!」
ななみんが手に顎をのせて近づいてくる。
「やだー!無理ぃー」
「どんな願い事でも叶えてあ♡げ♡る♡」
「パイセン、キモいんですけど」とキララに救いの手をもとめる。
「だったらぶりっ子やめてよ」
キララがにやにやした顔で言う。
「そうしたら、魔法少女になってくれる?」
ななみんは上目づかい。
「それはムリかな」
「ところで魔法少女ってなんですか?」
西崎39がきいた。
「なってからのお楽しみだよ」
「ええ、魔法少女ってギャルじゃないっす」
「じゃあ、じゃあ、時給39セットでどう?」
「3900円?」
キララの目が輝く。
「390円」
「安っ!」
「ねえ、メイド喫茶魔法少女でバイトをしてみない?」
「メイド喫茶?」
「そう、メイド喫茶魔法少女」
「絶対ムリ」
キララがパラパラを踊り出す。
すると西崎39も踊り出す。
そしてななみんもパラパラを踊り出す。
「めっちゃうまいじゃん」とキララが誉める。
「だからあー、魔法少女になってよ」
「やーだっ!」
「ルリルリもナチュメも魔法少女になったんだよ」
「えっ。ウソ?」
パラパラを踊りながらキララは大きな目を見開いた。
「二人はどんな願いごとをしたんですか」と西崎39。
「おぼえてなーい」
「どうして」
「だって興味ないモン」
「相変わらず自分大好きだな」
キララがツッコんだ。
「じゃあ、ななみんは何を願ったわけ?」
「それはあー♡みんながななみんのことを好きになりますようにかな」
「へえー。じゃあ、全然願い事叶ってないじゃん」
キララが言った。
「えっ?みんな、ななみんのこと好きだよね」
「私はムリ」
キララは即答。
「全然、願い事叶ってませんね」
西崎は笑う。
その様子を見て、ななみんは、
「なーあーんって、うっそぉー」と強がる。
「私の願いはねえ~。オチャノーマ・サマーの全員が魔法少女になりますようになんだ」
ふふふふふふ。
「マジかよ!てめえー。勝手に!」
「だからななみんと契約してよ」
ななみんは上目づかい。
「どんな願い事だって叶えて上げるから」